MUSICAL FEATURES
Koszalinは、最大+/-5kHzまでの準多項式および線形の周波数変調と、電圧コントロール可能な完全なステレオ・フィードバックを提供する、2入力4出力、フルステレオ設計のフリーケンシー・シフターです。信号のスペクトルを直線的に変化させる周波数シフティングを実行することで、あらゆる種類の無調の音を作成できます。これはピッチ・シフトとして知られる周波数スケーリングとは異なるもので、周波数シフトと深いフィードバックによって生じる複雑な位相キャンセル・パターンが、壮観なバーバーポール効果を生成します。Koszalinでは、フィードバックの量、ルーティング、応答をそれぞれダイレクトにコントロール可能で、あらゆるステレオ・オーディオ信号に対する周波数変調を容易にする、リニア・スルーゼロFM入力も搭載します。
HOW TO USE
Interface
マウスオーバーで各部の説明が表示されます
周波数シフトについて
デジタルでもアナログでも、Frequency Shiftは、対象となる信号を構成する各倍音に対して、等しいHz数だけ周波数を変更することで、信号のすべてのスペクトル成分に影響を与える処理です。例えば、入力が1kHzの周期的な波形の場合、通常この信号には1kHzの成分のほかに2kHz, 3kHz, 4kHz等の倍音が含まれます。この信号を200Hzシフトした場合、結果の信号には1.2kHz, 2.2kHz, 3.2kHz, 4.2kHz…となるため、元の倍音関係が崩れます。これは新規の成分が元の周波数の倍数でないことを意味し、信号は非調和で非周期的となります。
これは周波数を同じ係数でスケーリングする(テープを早めるような)ピッチシフトとは大きく異なる効果です。例えば、係数1.2を適用した場合の結果は1.2kHz, 2.4kHz, 3.6kHz, 4.8kHz..となり、ピッチが異なるだけで、1倍、2倍、3倍、4倍…の調和的な倍音関係は保っています。
技術的には、周波数のシフトは「シングル・サイド・バンド(SSB)モジュレーション」によって実現されます。これはリング・モジュレーションとも呼ばれる単純な乗算よりもはるかに複雑です。単純なリングモジュレーションでは、周波数が加算された成分と減算された成分がまじりあうからです。
SSBでは乗算された信号を、周波数が上にシフトした信号と下にシフトした信号に分けます。これは複雑なフィルタリング、位相の回転、および直交変調によって得られるもので、アナログで行う場合は非常に複雑になりますが、DSPで比較的容易に実現できます。
フィードバックの効果
周波数シフトされた信号をシフターの入力に戻すと、信号の一部が複数回シフトされることで段階状に連続する一連のシフトを作成します。シフトがわずかな場合、非常に深い、レゾナント・フランジャーに似たコム(櫛型の)応答が作成されます。位相の打ち消し合いは時間的・周波数的に移動するリップル(波紋)を作成し、壮大なバーバーポール効果を生み出します。
また、フロントパネル左上のREGENスイッチを介して、3種類のフィードバック構成を利用できます。左および中央位置の設定では、それぞれシフトダウンされた信号とシフトアップされた信号のステレオ出力ペアから作成されたフィードバックを選択できます。スイッチが右位置ではCOMBIの設定となり、左チャンネルはシフトダウン出力から、右チャンネルはシフトアップ出力からの信号を組み合わせます。COMBIフィードバック設定は、両ステレオチャンネルを直列にパッチングする際に便利です。
負極の周波数(Thru Zero FM)
円周上を1分間にX回転する点があるとします。これを一次元で観察すると、X/60Hzの周波数で正弦波的に振動しています(1分間=60秒)。円の速度を下げると、周波数は0Hzに向かって減少しますが、円を止めて方向を変えた場合、周波数は再び上昇し始め、負の周波数値に向かいます。このゼロ交差が、スルーゼロFMのサウンドが正極のみのFMと異なる理由です。負の値を増加させることによる周波数シフトには、ある時点で元の周波数がゼロに近づき、それを超え、再び増加し始めるという特徴的な効果があります。例えば、入力信号の周波数が300Hzの場合、SHIFTノブを反時計回りに-300Hzの位置、つまりx10スイッチを有効にした状態で30にすると(UP SHIFTED OUT出力を使用)、元の周波数が補正され、結果は0Hz(300-300=0)になります。この点を超えると、周波数用のCVはマイナスに向かっているにもかかわらず、周波数は増加しているように聞こえます。