MUSICAL FEATURES
MATHSは、その多機能さからスイスアーミーナイフにも例えられるCV生成/変調モジュールです。 エンベロープ兼LFOが2つ搭載され(CH1&CH4)、それらとプラスαの機能を組み合わせて複雑かつ音楽的なエンベロープを作り出すことができます。またパッチングによってトリガーディレイやエンベロープフォロアー、コンパレーターなど様々な機能を果たすことができます。
MATHSで中心的役割を果たす2つのチャンネル、CH1とCH4は、
- – SLEW(スルー)(SIGNAL In にシグナルを入力し、CYCLEボタンOFF)
- – ADエンベロープ (Trig In にトリガーを入力し、CYCLE ボタンOFF)
- – ADエンベロープをリピートしたLFO(特にSIGNAL INやTRIG INに入力せず、CYCLEボタンON)
のどれかとして機能します。SLEWは、ゲートシグナルを入力することでASRエンベロープとして使うこともできます。
CH1とCH41の一番大事なパラメータ、Riseタイム/Fallタイムの変化で、シグナルの上昇/下降のスピードが次のように変化します。
- – SLEWとして使用時は、入力電圧の変化の度合いを上昇時、下降時別に調整。
- – ADエンベロープとしてはアタックタイム・ディケイタイムを個別に調整
- – LFOでは電圧の上昇時、下降時の時間を個別に調整
RISE/FALLはCVでコントロールすることが可能です。
残りのCH2とCH3は単純な±両方向のアッテネータ/オフセットです。
MATHSではこれらCH1~CH4をSUMやORという形で合成し、複雑なシグナルを作り上げることも可能です。またCH1とCH4に搭載されるEOR (END OF RISE)/EOC (END OF CYCLE)といったタイミングを知らせるゲートシグナルも様々な目的で利用できます。 マニュアルの後半にはたくさんのパッチの説明やTIPSも載っているので、是非一度色々なパッチを試してみてください。
マウスオーバーで各部の説明が表示されます
Tips
Signal In/Trigger In
トリガー信号をMATHSに入力する際、Signal InとTrigger Inでは次のような違いがあります。
- Signal Inではトリガーがオフになった途端にフォールが始まる。
- Trigger Inでは指定されたライズ時間後にフォールが始まる。
なので、ライズ時間が長く設定されている時、Signal Inにトリガーを入力すると、エンベロープがほとんど立ち上がらないままリリースを開始しますが、Trigger Inの場合はライズ→フォールを設定した時間の通りに行います。
また、Trigger Inではリトリガーの有無に注意してください。エンベロープのライズ時にTrigger Inに入力があっても、エンベロープはリトリガーされません。忙しいトリガーパターンからゆったりとしたエンベロープを作り出す時や、下記のようにトリガーディレイとして使用する際にこの性質はとても便利です。またこの性質により、EOC/EOR出力がクロックディバイダーのように機能させることができます。
LOG/LIN/EXP
MATHSでは、CH1とCH4のエンベロープはそのカーブの特性を非常に幅広いレンジで調整可能です。LOGでは圧のあるエンベロープ、EXPではスーパースナッピーでパーカッシブなエンベロープとなります。このカーブの調整力もMATHSの大きな特徴です。
つまみを Logに近くしたとき。エンベロープは上に膨らんだカーブになります。
つまみをExpに近くしたとき。エンベロープは下に膨らんだカーブになります。
また、エンベロープを自身のRise/Fall時間のCV入力にセルフパッチすることで、RISEとFALLで特性の異なるカーブも作れます。
カーブ特性をLOGにし、自身のエンベロープでFallをモジュレーションすると上のような形のエンベロープになります。モジュレーション量をアッテインバータで調整できるよう、バリアブル出力を使ってモジュレーションし、アッテインバータをマイナスにしています。ユニティ出力を目的のモジュレーション先にパッチしてください。
下の”MATHS Advanced Envelope Techniques”ビデオの50秒あたりのパッチもごらんください。
Audio Rate
CYCLEモードでRISEやFALLを極端に短くすることで、CH1やCH4は1kHzまで周波数を上げられるため、インスタントなオシレーターにもなります。全てのチャンネルはオーディオレートまで処理できるので、ミキサー等としても使えますし、CH1 やCH4にオーディオシグナルを入力してRISEやFALLを適切に設定すればエンベロープフォロワーのようにも使えます。またRISEやFALLを長くすると周期は25分を超えるほどにまで長くすることができます。このため1曲の中の大きな流れとしてエンベロープをデザインすることも可能です。
Trigger Delay/VC Gate
End Of Riseからは、入力されたトリガー信号がライズ時間だけ遅れて出力され、フォール時間分だけゲートONが続きます。このようにトリガーを遅らせてコントロール可能なゲートとして出力する機能を、トリガーディレイ/VCゲートなどと呼び、モジュラーでのリズム作りなどではとても重宝する機能です。上記のリトリガーの性質と組み合わせることでさらに有機的な使い方が可能です。
DEMO
MATHS1台で複雑なエンベロープを作っているところをオシロスコープに映しています。後半にいくにつれMATHSの真価が発揮されています。