MUSICAL FEATURES
Klavis Logica XTは、電圧コントロール可能なロジック/ゲート・プロセッサーです。6種類の基本的なロジック機能と8種類のさらに進んだロジック演算機能を備え、3つのジャックと1つのボタンの計4つの信号を入力とすることが可能です。出力はANDとNANDのような反転信号を同時に利用でき、専用の1/2ディバイド出力も備えます。
HOW TO USE
Logica XTは、3つまでの入力信号とプッシュボタンを使うことでロジック演算を実行します。本機の持つ機能は次の2つのカテゴリーに分類されます。
- 単一のLED点灯で示されるパネル左側にラベルされたシンプルなロジック演算
- ペアのLED点灯で示されるパネル右側にラベルされた高度なロジック演算
これらの機能群を切り替えるには、Xtraボタンをクリックします。ノブを操作することでアクティブな列の機能を選択できます。いくつかの機能では、Xtraボタンを長押しすることで関連する設定を編集可能で、行った変更は自動で保存されます。
入力ジャック
- CV control input: Mode選択のCV入力です。高度なロジック機能では、CV入力は使用できません。
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Input 1, 2, 3: 基本のロジック機能では、これらの入力はすべて同様に機能し、あらゆる信号を任意のジャックに入力できます。また、いくつかの高度なロジック機能において、これらのジャックが特定の役割を持ちます。
シンプルなロジックでは、未使用のジャックに自然な初期値が割り当てられます。
出力ジャック
- Main Output (Out): 選択されている機能のロジック演算の結果を提供します
- Inverted Output (Inv): メイン出力の反転信号を出力します
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Division by two output (Div/2): この出力は、メイン出力がOffからOnに変わるたびに自身の状態を変更し、メイン出力を2で割った信号を提供します(フリップフロップ)。外部モジュールのクロッキングや、オーディオ信号を扱う場合のサブ・オクターブ作成に利用できます。
ORing of outputs: 処理のための追加モジュール無しに、本機の出力にパッシブマルチプルやスタックケーブルを使用し、OR演算を適用することも可能です。
コントロール
- Mode knob: アクティブな列のロジック機能/モードのひとつを選択します。
- Manual input button: 4つ目の入力のように機能するボタンです。ボタンの初期状態は選択されたロジック機能に依存します。必要に応じて、ユーザーで初期状態を変更できます。
- Xtra button: このボタンには2つの役割があります。1つ目は前述の通り、クリックすることで選択するロジック機能の列を切り替えます。2つ目は選択されている機能内の設定を編集するもので、ボタンを長押しすることで実行できます。編集中はCVが無効化され、基本ロジックの場合はXtraを押しながらManualボタンをクリックすることで初期状態を切り替えます。結果はManual LEDに反映されます。いくつかの高度ロジック機能では、Xtraを押しながらノブを操作することで時間の設定を調整できます。編集が終わればXtraボタンを離します。変更は自動で保存されます。
シンプルなロジック機能
「組み合わせロジック」または「ブーリーン・ロジック」としても知られるこれらの機能は、パネル左側にリストされ、単一の白色LEDにより示されます。
- Forced On & Off states: OnまたはOffを強制的に出力します。Onの状態は列の上部に専用のLEDがあり、Offは列のすべてのLEDが消灯することで示されます。強制状態では入力ジャックは無効となりますが、出力を反転させるためにマニュアルボタンのみを利用できます。
- And & Nand: メイン出力は、入力とボタンのすべてがOnの時にOnになります。マニュアルボタンはデフォルトでOnです。AndはVCAに相当するロジックで、接続された信号の一方を通すためには他方がOnである必要があります。
- Or & Nor: 少なくとも1つの入力、またはボタンがOnの時にメイン出力がOnになります。Orはミキサーに相当するロジックで、入力ジャックのいずれかがOnの時に出力がOnとなります。マニュアルボタンはデフォルトでOffとなります。
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Xor & Xnor: このロジック機能は、有効な入力ジャックがすべてOnの時にメイン出力がOffとなる点を除いてOrと同様に作動します。Logica XTでは、2入力のXorゲートをペア連結するのとは結果の異なる、特別な3入力のXorを実装します。また、他のシンプルロジックモードとは異なり、ボタンは入力ジャックと同機能ではありません。ボタン操作により、カスケード接続されたXor機能に送信します。
Xorは、2基のオシレーターと2つの入力を使って、ARP OdysseyやKORG MS-20に実装されていた「デジタル・リングモジュレーター」のように利用することができます。
マニュアルボタンは最終結果を反転します。 - Even & Odd: マニュアルボタン、および偶数番号の入力ジャックがOnの時にメイン出力がOnとなります。反転出力は奇数番号の入力に対して同様に機能します。ボタンはデフォルトでOffです。
- 1 High: マニュアルボタンを含む、入力の1つだけがOnの時にメイン出力がOnになります。ボタンのデフォルトはOffです。この機能は、あるステップで他の3つのサウンドゲートのうち1つだけがアクティブな場合に、4つ目のサウンドゲートを提供することで、リズムパターン・ジェネレーターを補完することができます。
- 1 Low: マニュアルボタンを含む、入力の1つだけがOffの時にメイン出力がOnになります。ボタンはデフォルトでOnです。
高度なロジック機能
「シーケンシャル・ロジック」または「ステート・ベースドロジック」としても知られるこれらの機能では、出力が一連の動作に依存したり、時間に関連する効果を伴うことがあります。シンプルロジック機能と異なり、入力のノーマリゼーションは不要なため無効化され、設定の編集中はManual LEDが点滅し、マニュアルボタンの初期値も編集不可となり、CV入力も無効化されます。
- Gater: Gaterは、Or機能が実行するように全入力を組み合わせますが、1つまたは複数がすでにアクティブな時に新規ゲートが開始するたびに出力を再トリガーします。すべての入力は同等に機能し、マニュアルボタンは4つ目のゲート信号を導入します。出力信号は着信ゲート信号の時間長を反映します。Xtraボタンを長押しすることで、再トリガーのために作成されるギャップの時間長を設定できます。ノブを回すと、LEDオフ=1ミリ秒、次に2、3、4、5、6、7、8ミリ秒の値に対応するLEDが1つずつ表示され、さらに回すと10ミリ秒から1秒まで連続可変の値を反映するバーグラフが表示されます。初期値は3ミリ秒です。タイトなタイミングを維持するために、ターゲットとなるモジュールが許容する可能な限り短い値を設定することが推奨されています。よりクリエイティブな目的のために、長いギャップ時間長も利用できます。
- Gt〜Tr – Gate to Trigger & Trigger to Gate: 任意の入力へのゲートまたはトリガーを長さの調整ができるトリガー/ゲートパルスに変換します。すべての入力は同様に機能します。マニュアルボタンは4つ目のトリガー/ゲート信号を導入し、すべての信号が組み合わされて出力されます(ORed)。ノブを回すと、LEDオフ=1ミリ秒、次に2、3、4、5、6、7、8ミリ秒の値に対応するLEDが1つずつ表示され、さらに回すと10ミリ秒から10秒まで連続可変の値を反映するバーグラフが表示されます。初期値は、一般的なGate to Trigger変換に適した4ミリ秒です。より長いトリガーを使用してパンチのあるエンヴェロープを作成することもできます。入力する信号の長さに関わらず、より長い時間長でTrigger to Gateを実現できます。
- 1, 2, 3 – Sequence Validation: 入力の番号付けが重要となる機能です。3つの入力ジャックが、入力1から入力3までの適切な順序でトリガーまたはゲートを確認した後でのみ出力がOnになります。シーケンスが中断された場合(例:入力1の直後に入力3がアクティブになる)、検証はリセットされ、最初からやり直しとなります。出力が正常にOnになった後、さらに何かしらの信号を入力すると、出力はOffになります。(その信号が入力1に着信した場合は、新しいシーケンスが再開される可能性があります)。異なる入力への信号が重なった場合、その立ち上がりエッジのみが考慮されます。マニュアルボタンは現在の出力の状態を反転します。
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Coin: この機能は、使用する入力に応じて勝率が変化する3つのコイントス型ランダムジェネレータを提供します。勝利した場合は入力信号の時間長で出力がOnになります。2つ以上の入力が使用された場合、勝ちとなる信号は組み合わせて出力されます(ORed)。各入力の勝率は入力1が五分五分、入力2が4分の1、入力3が8分の1となります。同じ入力信号を2つ以上のジャックに入力した場合、下図のようにオッズ値が追加されます。
マニュアルボタンは、現在の出力の状態にミックスされる(ORed)ONを作成します。 - Set/Reset + Clock – S/R+C: 各入力の機能がジャック上の黒いボックス(Clock、Set、Reset)に示されています。この機能は、典型的なフリップフロップ回路を実装しています。最も単純な使い方としては、Clock入力に任意の周期的な信号を入力することで、メイン出力から1/2の信号を得ることができます。SetおよびReset入力はそれぞれ出力を強制およびクリアします。Clockへのパルスは現在の結果を反転します。マニュアルボタンは追加のクロックオプションです。クロッキングしない場合、SetとResetだけを使うことで他の入力がハイに成るまで結果を静的に維持するS/Rラッチを得ることができます。着信信号の立ち上がりエッジのみが考慮されます。オーディオの使用では、Logica XTはDiv/2出力に内部結線されたディバイダーを実装しているため、1/4の結果を獲得できます。この機能にオシレーターを入力することで、サブオクターブと2オクターブ下のオーディオ信号を同時に得ることが可能です。
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Digital Sample & Hold – D.S&H: 入力ジャックの右側にラベルされたClock、In、Clearを使用する、サンプル&ホールドとオプションのゲートシェーパーで構成された汎用性の高い機能です。ノブ位置に応じた2つの動作モードがあり、最初の半分ではパターンディレイ、次の半分ではディレイ付きの多目的サンプル&ホールドとなります。1つ目のモード、パターンディレイはディレイ機能付きのリズミカルなパターンの作成に便利です。Clock入力に規則的なトリガー/ゲートを送り、Data入力にゲートパターンを送ります。出力はトリガー/ゲート信号の位相と時間長でシェイピングされたゲートパターンの遅延したコピーを提供します。
Xtraボタンを押したままノブを操作することで、パターンがどれくらいのステップで遅れるかを設定することができます。操作範囲の左半分でノブを回すと、LEDの列がディレイを次のように示します。LED off=1で、入力は次のクロックで出力にコピーされます。続いて2、3、4、5、6、7、8、12、16ステップに対応するLEDが点灯します。次に24、32、48、64、96、128ディレイステップのLEDペアとなります。サンプリングは、DataがClockの上昇よりも僅かに早い/遅い場合でも同様に機能します。出力信号はクロックとしてシェイピングされるため、Dataの終点は重要ではありません。2つ目のモード、デジタル・ディレイラインではデジタル信号をあらゆるクロック速度で最大5000ステップまで任意に遅延させることができます。前述のモードとは異なり、クロック形状を参照する出力信号の再形成は行われません。Clock入力への信号がない場合、モジュールは自身の内部で1kHzのクロックを生成します。これにより、1ミリ秒の精度で調整可能な5秒までのディレイを得ることができます。Xtraボタンを押したまま、ノブの右半分を操作することで、ディレイを1ミリ秒から5000ミリ秒を超える値で調整可能で、LEDはバーグラフ表示で設定値を示します。1ミリ秒以下のクロックを使用することで、より長いディレイを得ることもできます。Inv出力をDatad入力にパッチし、速度調整可能なクロック・ジェネレーターを作成することも可能です。オーディオで使用する場合のヒントとして、クロックが変調され、オーディオミキサーを使用することで典型的なダブルトラッキングのユニゾン、およびフランジャー効果を得ることができます。矩形波状の、またはパルスのオーディオ信号のみが有効となります。また、適切なサンプリングのために、クロックはオーディオレートの数倍で動作させる必要があります。
シンプルロジックの概要
この表での「Input」には、Xor/Xnorを除いてマニュアルボタンも含まれます。
高度なロジックの概要
Inv出力はOutの正反対となります。Div/2出力はOutのLowからHighへの変更に伴い状態を切り替えます。