MUSICAL FEATURES
Arbhar(アーバー)は新世代のユーロラックグラニュラープロセッサーです。サンプルされたオーディオは短い音のグレインに細切れにされ、混ぜ合わされ、ピッチを変え、エンドレスにレイヤーされることで、フリーズしたなめらかなトーンからグリッチした生楽器の音まで幅広いオーディオ操作を行うことができます。
さらにパネル上に組み込まれた小型のコンデンサーマイク、自動サンプリング用のオーディオ解析機能、内部モジュレーションなどを搭載することでArbharは比類のないグラニュラーシンセシスを実現します。
- Lexer法によるグラニュラーシンセシス
- Intensityとグレイン長をコントロールするタイプ、外部からグレインをトリガーするタイプの2種類グラニュラーエンジンを使用可能
- グレインの再生位置をCVで指定するScanモード、調整可能な速度で自動で再生するFollowモード
- グレイン長が短い場合にはウェーブテーブルオシレーターのように使用可能
- 約10秒のサンプルバッファを6つ搭載。電源をオフにしてもバッファ内容は残ります
- 内蔵コンデンサーマイクにパネルからアクセス可能
- 入力段にはアナログプリアンプ搭載
- 自動でキャプチャー(録音)を開始できるオーディオ分析機能搭載
- オーディオの大きさ、長さ、再生位置、広がりを示すLEDディスプレイ
- 柔軟に設定を変更できるトリガー出力
- グレインの再生方向確率の設定も可能
- 内部でのピッチモジュレーション可能
- 1V/Oct入力搭載
- グレインの再生ウィンドウをダイナミックにコントロール可能
- 2HPのエキスパンダー(本体と同梱)により主要パラメータだけでなく全パラメータをCV制御可能
Demos
HOW TO USE
Interface
マウスオーバーで各部の役割が表示されます。
Expander
エキスパンダーでは、Spray,Layer,Direction,Envelope,Pitch Deviation,Dub,Hold,Dry/WetのCVinが搭載されます。ただし、Hold CV入力は、Arbhar本体基板上のスイッチの位置を変更することで、次のコントロールのどれかに変更できます
- Stereo Panning: CVの値によってステレオ幅やパンニングの動きをコントロールします
- Reverb: CVの値によってリバーブの量やパラメータをコントロールします。リバーブモードはプロセッサの能力を多く使うため、サンプルレートは64kHzから48kHzに下がり、内部トリガーで同時に発音可能なグレインの数が24から20に下がります
- Delay: CVの値によってディレイの量やパラメータをコントロールします。
Input Section
Arbharでは、メインの入力ジャック、Onset Analysis入力ジャック、内蔵コンデンサーマイク、という3つの入力ソースから音を録音することができます。マイク→Onset入力→メイン入力と内部結線されている為、例えばメインとOnset入力にパッチされていない時にマイクからの音が入力されます。入力段にはアナログリミッターが搭載され、過大音量によるデジタルクリッピングを防ぎます。
Onset Analysis Onset Analysisは、入力された音のスペクトルをモニターし、大きく変化した時に自動で録音をトリガーします。内部結線により、コンデンサーマイクへの音もOnset Analysisを通過します。Onset Analysisによる録音をしたくない場合、Senseを下げるか、Shift+Capture+LayerでOnsetの挙動を変更してください(下のOnset Analysis Settingを参照してください)。
Grain Playback
グラニュラープロセッサでは、バッファ上のオーディオが細切れの小さい単位(グレイン)となり、それらの再生方法をコントロールすることで様々なサウンドやテクスチャーを生み出します。Arbharではグレインをコントロールする為の様々なパラメータが用意され、ほぼすべてが電圧でもコントロール可能です。グレインの再生位置や広がり、レベルなどはモジュールを横切るLEDディスプレイの表示に反映されます。
グレインの内部トリガーでの再生頻度は、Intensityでコントロールされます。ノブの左側と右側で再生のタイミングも変化します。個々のグレインの音量をコントロールするエンベロープも、EnvelopeノブやCVでコントロールされます。バッファ上、Scanでコントロールされる位置を中心に、Sprayで決まる範囲のグレインがトリガーされます。再生グレインの時間的な長さはLengthでコントロールされ、再生方向はDirectionノブで確率的にコントロールされます。
Polyphony
ArbharではIntensityで頻度が決定する内部トリガー以外に、Strike入力により外部からグレインをトリガーし、出力にミックスすることができます。個々のグレインはポリフォニックに発音可能で、発音可能音数は内部トリガーのグレインで24音、外部トリガーのグレインで20音となります。各グレインのピッチは、1V/Oct入力、ピッチノブ、Pitch Deviationコントロールの影響を受けますが、この影響は発音の瞬間にのみ更新され(サンプル&ホールド)、発音の途中でのピッチコントロールはグレインに影響を与えません。これにより個々のグレインが明瞭な個別のピッチ感を持ったポリフォニーが可能になります。
Follow Mode
Arbharのデフォルトの設定では、Scanコントロールが一定であればグレインの再生位置は変化しませんが、Follwoモードに切り替えると自動で再生位置が移動し、Scanで移動スピードのコントロールするようになります。Followモードに移るには、Shift+Captureを押しながら、Scanノブを左または右いっぱいに2回回してください。FollowモードではStrikeボタンが白く光ります。
Recording
録音はCaptureボタンまたはトリガー入力、及びOnset Analysisによって開始・ストップします。一つのレイヤー(バッファ)は最大10秒程度録音できます。録音は常にバッファの先頭から開始します。録音先となるレイヤーはα~ζの6つ利用可能で、Layerコントロールで選択します。6つを結合したΩバッファも選択可能です。
Overdub
バッファには繰り返し入力音を録音していくことができます。新しい録音後に既存の音をどれだけ残すかはDubコントロールで調整します。またShift+Capture+Strikeを押すことで、現在のバッファ状態をアクティブにセーブすることができます。新しい録音が気に入らない場合、Shift+Strikeを押すことでひとつ前の録音状態にアンドゥします。これを繰り返すと最後にバッファが空になりますが、その状態で再度Shift+Strikeを押すことでセーブした内容をロードすることができます。オーバーダブしながら色々と実験した後、過去のバッファ状態に戻りたいときにこのセーブ機能は非常に便利です。
Layer Decoupling
Arbharでは、録音レイヤーと再生レイヤーに別々のレイヤーを指定することができます。Shiftを押しながらLayerノブを回すと再生レイヤー(LED白)はそのまま、録音レイヤー(LEDアンバー)のみを変更できます。Ωレイヤーを選択するとまた再生レイヤーと録音レイヤーが一致するように戻ります。
Trig Out & Onset Analysis Setting
Shift+Captureを押しながらLayerノブを回すと、Trig OutとOnset Analysisの設定を変えることができます。
- α:デフォルト設定。Trigはグレインがトリガーされる度にゲートを出力し、Onset Analysisは通常通り動作します。
- β:TrigはOnset Analysisでホールド状態の間ゲートを出力します。Onset Analysisは通常通り動作します。
- γ:Trigはグレインがトリガーされ、Onset Analysisでホールドされるとゲートを出力します。Onset Analysisによる録音は行いません。Senseノブの位置を変えずに自動録音を無効化したい時に便利です
- δ:TrigはOnset Analysisでホールド状態の間ゲートを出力します。Onset Analysisによる録音は行いません。Onset AnalysisをArbhar本体の動作とは無関係に使いたい時に便利です
Firmware Update
ファームウェアのアップデート手順は以下の通りです。
- こちらから最新のファームウェアをダウンロードします。
- .isoや.imgファイルを焼けるオープンソースソフト、‘balenaEtcher’をダウンロード、インストールします。
- マイクロSDカードをコンピューターに接続します。
- balenaEtcherを立ち上げ、”Select image”からファームウェアのzipファイル(イメージファイルを圧縮したもの)を選びます
- Flash!を押します
- 完了したらSDカードを取り出し、電源を切った状態でモジュールに戻し、パッチケーブルをささない状態で電源を投入します。
- モジュールは新しいファームウェアをロードします