MUSICAL FEATURES
Frap Tools SCは、CGMユーロラックミキサー・シリーズの単一チャンネルのステレオ・モジュールです。前モデルのCモジュールの機能とCV入力はそのままに、ステレオ仕様になった本機では、新たにQSCのパン/クロスフェード機能を搭載します。シリーズの他の全製品との互換性を持つ本機は、先進的な入出力構成によってステレオ-ステレオ、モノ-モノ、モノ-ステレオ、ステレオ-モノとして機能します。ゲインコントロール、および2つのモノFXセンドはプリフェーダーまたはポストフェーダーに設定可能で、パンポットはデュアル・モノのクロスフェーダーとしても使用できるため、2つのモノソースをブレンドして単一モノにサミングすることもできます。全てのパラメータは電圧コントロールに対応しているため、クリエイティブなミキシング・オートメーションを実現します。また、スタジオでもライブでも便利なミュート/PFL/Solo-in-Placeといった3つのボタンを実装します。
HOW TO USE
SCの信号ルーティングはCGMの品質基準と一致するように、VCA(赤色)、2つのFXセンド(黄色と緑色)、パン(ピンク)、フェーダー(白色)と色分けされた5つのセクションに分けられています。
振幅コントロールとダイレクト出力
SCのシグナル・フローは2つのチャンネル入力ジャックから始まります。次に、それらにパッチされた信号の初期ゲインをLevelノブを介してメインVCAが定義し、Gモジュールに送られるオーディオ信号のレベルをChannelフェーダーが設定します。つまり、VCAが着信信号の振幅をコントロールし、フェーダーが出力信号の振幅をコントロールします。これら2つのコントロールを併用することで、クラシカルなミキシング・コンソールのように、ミックス内の信号の振幅だけでなく、その音色も定義することができます。入力VCAはユニティーゲイン以上になるため、着信信号にとても滑らかなサチュレーションを加えることが可能で、より太い/パンチのある/温もりのある等と形容される種のサウンドを生成します。また、この入力レベルは0-5Vまたは0-10Vのユニポーラー信号を受け付けるVCA Level CV入力を介して電圧でコントロールすることも可能で、CVがパッチされている場合はLevelノブがアッテネーターとして機能します。参考テクニック動画 1
メインVCAは、VCAにより増幅された(着色された)後の着信信号を取り出せる、モノまたはステレオのダイレクト出力も備えており、マルチトラック録音や信号のパラレル処理に利用できます。Pre/Postスイッチは、ダイレクト出力の信号がフェーダー設定の影響を受けるか否かを定義します。赤色のドットがある上位置ではPreフェーダー、白いドットがある下位置でPostフェーダーとなります。Preフェーダーに設定した場合、ダイレクト出力から出力される信号はChannelフェーダーの位置に関係なく、メインVCAを通過した後の信号となります。Postフェーダーの設定では、出力信号の振幅はChannelフェーダーによっても決定されるため、最終ミックスにおける信号と同じものとなります。左のダイレクト出力はモノサムとしても機能します。右の入力にパッチがない場合、両チャンネルの和を出力します。右の出力にケーブルをパッチするとセミ・ノーマリゼーションが解除され、2つの出力がステレオで動作します。これにより、SCはステレオ、モノ、モノ-ステレオ、ステレオ-モノ、デュアルモノなど、入出力間の柔軟な信号ルーティングを実現します。
ステレオ動作
SCの最もシンプルな使用法として、ステレオ信号を左右の入力にパッチします。信号は内部でグループにルーティングされます。左右のダイレクト出力からは、信号のコピーをPreまたはPostフェーダーのどちらかで取り出すことができます。
モノラル動作
モノラル信号を左右どちらかの入力にパッチすることで、SCを古典的なモノチャンネルとして使用します。この場合、左のダイレクト出力はCモジュールのダイレクト出力のように動作するため、ステレオ位置は無視されます。
モノ-ステレオ動作
左右に動くモノラルソースを録音し、そのステレオ位置をトラッキングしたい場合は、左右のダイレクト出力をレコーディング機器に接続します。Cモジュールのパンポットは、Gモジュールに送られるサウンドだけに作用していたため、この操作はCGMで初めて実現しました。
ステレオ-モノ動作
左のダイレクト出力は、左右の入力にパッチがある両チャンネルのモノサムを出力します。
デュアル・モノ
Mono/Crossfadeスイッチを利用することで、SCをデュアル・モノミキサーとして使用できます。
エフェクトセンド
2つのSend Levelノブは、グループのエフェクトセンド・モノ出力に送られるチャンネル信号の振幅を定義します。これらもメインVCAと同様に、対応するCV入力に0-5Vまたは0-10Vのユニポーラー信号をパッチすることで電圧でコントロールすることができます。この入力を利用することで、一般的なミキシング・コンソールでは不可能な方法で、各チャンネルのエフェクトを個別に自動化できます。2つのFXセンドは、それぞれにPre/Post Faderスイッチを備えます。白いドットがある下位置、Postフェーダーに設定した場合、外部エフェクトに送られる信号はChannelフェーダーの位置によって制限されます。この設定は、チャンネルのレベルを調整する際に信号のDry/Wet比を常に同じにしたい場合に便利です。Preフェーダーに設定した場合は、FXセンドはノブまたはCVによってのみ定義されるため、全体のチャンネルレベルから完全に独立します。この方法では、Channelフェーダーを下げて、処理された信号だけをミックスに残すような効果を得ることができます。Pre/Postエフェクトセンドの別の見方は、前者が絶対的なレベルであるのに対し、後者は相対的なレベル(この場合、メインフェーダーに対して)です。
パン
Pan/Crossfadeスイッチが下位置に設定されている場合、ノブはステレオ・パノラマコントロールとして機能し、左右のチャンネルに渡る(モノorステレオ)オーディオ入力のバランスを定義します。正負両極の電圧(-5V to +5V)を受け付ける2つのCV入力は、左端および右端チャンネルのパンニングの外部コントロールを提供します。正極のCVが増加するにつれて信号はより右側に分配され、負極のCVは信号を左側に寄せます。パンは両極性のコントロールであるため、CV入力の作動はVCAやFXセンドのものとは若干異なります。この場合、CVがパッチされると、ノブの操作により着信CVを正極(右)または負極(左)にシフトします。つまり、アッテネーターではなくオフセットとして機能します。
クロスフェード
Pan/Crossfadeスイッチが上位置に設定されている時、ノブは2つの入力にパッチされた信号をブレンドする「デュアル・モノ」クロスフェードとして機能し、結果の信号を左右のチャンネルに出力します。これは例えば、Brensoオシレーターの2つの波形出力のサウンドをブレンドしてパンチのあるモノラルのベースラインを作成したり、ステレオイメージ内でパンニングする必要のないドラムパターンの2つの要素をミックスしたりする際に便利です。参考テクニック動画1, 2
クロスフェードモード時のダイレクト出力の作動
SCをCrossfadeモードで使用する場合でも、ダイレクト出力のセミ・ノーマリゼーション機構に変更はありません。左の出力をモノ出力として使用する場合、左右のチャンネルが合算され、クロスフェードを聞くことができます。右のダイレクト出力にケーブルがパッチされると2つの出力は再びステレオとなり、チャンネルがPanモードに設定された状態と同様に機能します。グループに送られる信号はモノラルのままとなります。
クリエイティヴな機能
全てのチャンネルは、Muteボタン、Solo in Place、Stereo PFL(プリフェーダー・リスニング)の3つのクリエイティヴなコントロールを備えます。
ミュート
Muteボタンを操作することで、メインVCAを閉じることができます。これはVCA Levelノブをゼロまで絞り切るのと同等の操作であるため、ボタンを押すことでFXセンドを含むチャンネル出力の全てをミュートすることができます。
Solo in Place
Solo in Placeボタンは、グループがSafe Soloモード時にアクティブに保つチャンネルを選択します。参考テクニック動画 1
PFL
ステレオPFLボタンはMasterモジュールのPFL回路に送るチャンネルを選択します。