MUSICAL FEATURES
Super Disting EX Plus AlphaことDisting EXは大量のユーティリティ機能を詰め込んだ万能モジュール、Disting mk4 の進化系です。独立したDisting 2つ分、または単独の高機能モジュール1つ分として動作させることができます。モジュールに付属するMicroSDカードに収録されているオーディオサンプル、ウェーブテーブル、プリセットに加えて、Expert Sleepersのウェブサイトに用意されている追加コンテンツも利用できます。
- Disting Mk4 2つ分として動作させます(デュアルモード)。この場合のDisting EXのDisting mk4との違いはサンプルレート上限(EXでは96kHz)、またRAMが増え、サンプルトリガーのレイテンシーが700uSまで下がりました。またEXではディスプレイがOLEDです。
- 単独の高機能モジュールとして動作させます(シングルモード)。Matrix Mixer、 Augustus Loop、ポリフォニックサンプルプレイヤーなどの通常のDistingでは使えないアルゴリズムを使用できます
HOW TO USE
基本操作
Disting EXは6つのアナログ入力と4つのアナログ出力を備えており、おおよそ±10V幅のあらゆるユーロラック信号に対応するようDCカップリングで設計されています。 入力は白地に数字がラベルされているジャックで、出力はモジュール下部にある4つのジャックです。Disting mk4のZ, X, Y, A, Bもまたオレンジ色でラベルされています。Disting EXには2つのロータリー・エンコーダー(PとV、通常’Parameter’と’Value’用)と2つのロータリー・ノブ(LとR、左と右)があり、これら4つのコントロールは全てプッシュ・ボタン機能も備えます。
Disting mk4ではZノブとZジャックが常にリンクされており、ZジャックのLEDがノブ値とジャックの信号の組み合わせを示します。これはDisting EXのデュアルモード時にはそのままですが、シングルモード時にはノブがジャックから完全に独立するため、ジャックのLEDは入力信号のみを示します。
メニュー
モジュールの非リアルタイム機能の多くはメニューを介してアクセスします。シングルモード時には「P」を、デュアルモード時には「P」と「V」を同時に押すことでメニューに入ります。メニュー画面では「P」でアイテムをスクロールし、クリックする事で選択します(メニューがサブメニューの場合は次のメニュー階層に下がります)。「V」をクリックする事で一つ上のメニュー階層へ、押し続ければメニュー画面から通常画面に戻ります。
シングルモードとデュアルモード
Disting EXはDisting mk4を元にデザインされており、基本的に2台のDisting mk4としてディスプレイを共有して使用できます(デュアルモード)。この場合のDisting mk4との違いは、サンプルレート上限(EXでは96kHz)、またRAMが増え、サンプルトリガーのレイテンシーが700uSまで下がりました。またEXではディスプレイがOLEDです。一方、シングルモードではモジュールを単独の高機能モジュールとして作動させ、Disting EX独自のアルゴリズムを実行します。モードを切り替えるにはメニュー画面から「Algorithms」>「Choose single」または「Enter dual mode」のいずれかを選択します。
シングルモードのコンセプト – シングルモードのアルゴリズムの動作を定義する基本的な要素として、プリセットとマッピングがあります。プリセットはアルゴリズムのパラメーターの状態で、アルゴリズムがどのように作動するかをコントロールする数値のセットです。例えば、ディレイ・エフェクトのディレイ・タイムや、WAV再生アルゴリズムにおけるサンプル・ファイルの選択などです。マッピングは、モジュールのCV入力を中心とするMIDIやi2cなどの様々なコントロール・ソースからパラメーターがどのように制御されるかを定義します。
デュアルモードのプリセット – 左右それぞれがDisting mk4同様にプリセットの保存と読み込みが可能ですが、利用できるスロットが256に増えています。また、メインメニューからは左右の全パラメーターを保存できる「Dual preset」の保存と読み込みが可能です。
Presets
Disting EXのプリセットは以下の情報を格納します。
- プリセット名
- 現在のアルゴリズム
- アルゴリズムのパラメーター
- プリセットの読み込み時にロードされるマッピング
- 現在のパラメーター
- 選択した「Z」の機能(デュアル・アルゴリズム)
- アルゴリズムが使用するあらゆるファイル名/フォルダー名(シングル・アルゴリズム)
プリセットはモジュールのフラッシュ・メモリー、MicroSDカードのどちらか、または両方に保存できます。全256のプリセットをMicroSDカードに一度に保存することも可能です。全てのプリセット機能には最上位メニュー階層の「Presets」メニューを介してアクセスします。
Mappings
マッピングは、アルゴリズムのパラメーターがどのようにCVやMIDIによって制御されるかという情報を全て格納します。マッピングはプリセットに比べて変更する頻度が低いため、プリセットとは別の扱いとしています。マッピングもまた、モジュールのフラッシュ・メモリー、MicroSDカードのどちらか、または両方に保存できます。フラッシュ・メモリーには64のマッピング用スロットがあります。また64のマッピングをMicroSDカードに保存することも可能です。全てのマッピング機能には最上位メニュー階層の「Mappings」メニューを介してアクセスします。全てのタイプのマッピングで、マッピングできるのはアルゴリズムの最初の64のパラメータのみとなります。
CVマッピング
CVマッピングを利用する事で、モジュールの6つのCV入力からアルゴリズムのパラメーターをコントロールする事ができます。すべてのパラメーターを一つのCV入力に同時に割り当て、そのCVに対する各パラメーターの反応を個別に設定することができます。CVマッピングでは、手動で設定した値がオフセットされます。つまり、CV電圧から算出されたパラメータ値が、PおよびVノブで設定した値に追加されます。新しいアルゴリズムに切り替えると、一部のCVマッピングが初期値で設定されている場合があります。初期設定で有効なCVマッピングが設定されていないパラメーターでも、CVスケーリングが適切に設定されているため、CV入力を有効にするだけでそのパラメーターを適切な方法でコントロールすることが可能で、通常は±5Vの範囲をパラメーターレンジ全体にマッピングします。マッピング編集画面では、Pノブでカーソルの移動、VまたはRノブでカーソルの値を調整します。カーソル位置は以下の5つです。
- パラメーター番号 – 編集したいパラメーターのマッピングを選択します。
- 入力 – 使用するCV入力を選択します。
- CV極性 – 正極と負極、両方のCV電圧を使用する場合はBipolarを、正極のみを使用する場合はUnipolarを選択します。
- CVをゲートとして扱うか – 通常のCVとして扱う場合は「Norm」を、ゲートとして扱う場合は「Gate」を選択します。ゲートタイプのマッピングでは、1V以上の入力でパラメーターの最大値と最小値を切り替えます。
- CVスケーリング – 着信電圧とパラメーター値間の関係性を設定します。例えば20.0%/VスケーリングでCV入力4が入力レベルをコントロールしている時、5VのCVによって入力レベルが100%となります。
ノブ・マッピング
ノブ・マッピングを利用することで、モジュールのLおよびRノブからアルゴリズムのパラメータをコントロール出来ます。全てのパラメータはひとつのノブに同時に割り当てる事が可能で、ノブに対する各パラメータの応答は個別に設定出来ます。ノブ・マッピングは、手動で設定された値をオフセット(ノブから算出されたパラメータ値が事前に設定された値に追加される)することも、パラメータ値を直接設定することもできます。新しいアルゴリズムへの切り替え時に、一部のノブ・マッピングが初期値で設定されていることがあります。初期値でのノブ・マッピングがないパラメータでも、ノブのスケーリングが適切に設定されているため、ノブを有効にするだけでパラメータが適切にコントロールされ、通常はパラメータの全範囲にノブがマッピングされます。マッピング編集画面では、Pノブでカーソルを移動、VまたはRノブでカーソルの値を調整します。カーソル位置は以下の6つです。
- パラメーター番号 – 編集したいパラメーターのマッピングを選択します。
- ノブ – 使用するノブを選択します。使用しない場合はハイフンを選びます。
- ノブでパラメータ値をオフセットするか(”Rel “は相対モード)、直接設定するか(”Abs “は絶対モード)。
- ノブをユニポーラー(範囲0から1)とするか、バイポーラー(範囲±1)とするか。以下のスケール値とオフセット値の設定を容易にするためです。
- ノブのオフセット、および↓
- ノブのスケール。これら2つの値は、ノブ位置とマッピングで設定した値との関係を定義します。値はオフセット+K *スケールで、Kは「0, 1」または「-1, 1」の範囲の値(Uni/Biの設定による)です。
ボタン・マッピング
ボタン・マッピングでは、モジュールの「L」と「R」のノブを押すことでアルゴリズムのパラメーターをコントロールできます。全てのパラメーターはひとつのボタンに同時に割り当てる事が可能で、そのボタンに対する各パラメーターの応答は個別に設定することができます。ボタン・マッピングは、手動で設定した値をオフセットします。ボタンからのパラメータ値は、PおよびVノブで設定した値に追加されます。マッピング編集画面では、Pノブでカーソルの移動、VまたはRノブでカーソルの値を調整します。カーソル位置は以下の3つです。
- パラメーター番号 – 編集したいパラメーターのマッピングを選択します。
- ボタン – 使用するボタンを選択します。使用しない場合はハイフンを選びます。
- オフセット – ボタンを押した際に対象のパラメーターに加算される値です。
MIDIマッピング
MIDIマッピングでは、アルゴリズムのパラメーターをMIDIコンティニュアス・コントローラー(CC)でコントロールすることができます。全てのパラメーターはひとつのCCに同時に割り当てる事が可能で、そのCCに対する各CCの応答は個別に設定する事ができます。MIDIマッピングは、MIDI機器やMIDIコントローラー・ソフトからモジュールを制御するために使用することができます。例として、こちらのページではTouch OSCの便利なレイアウトを見ることができます。MIDIマッピングでは、Vノブで手動で値を変更した場合とまったく同じように、基本パラメーター値が設定されます。新しいアルゴリズムに切り替えると、初期設定のMIDIマッピングが適用され、パラメータ7以上(共通のアテヌバーター・パラメーターを除くすべて)をMIDI CC7以上でコントロールすることになります。CC値の0〜127の範囲がパラメーター値の全範囲にマッピングされます。マッピング編集画面では、Pノブでカーソルの移動、VまたはRノブでカーソルの値を調整します。カーソル位置は以下の6つです。
- パラメーター番号 – 編集したいパラメーターのマッピングを選択します。
- CC番号 – パラメーターの制御に使用したいMIDICC番号を選択します。
- 有効/無効の設定
- CCを通常(Norm)として扱うか、対称(Sym)として扱うか。Normの場合、0から127のレンジが下記のmin&max設定で設定された範囲全体にマッピングされます。Symを選択した場合、値64がレンジの中間点にマッピングされ、それ以上と以下の値は全レンジの半分でスケーリングされます。対称的なマッピングは、ゼロを中心とした両極の範囲を持つパラメータ(例えばパンニング位置)に適しており、MIDI値が64の時に中心がちょうどゼロになるようにしたい場合に便利です。
- 最小値、および↓
- 最大パラメーター値。
MIDIマッピングの編集中にPノブを押すことで「MIDI Learn」モードに入ります。Learnを有効にした後、モジュールが最初に受信したCCが現在のマッピングに割り当てられます。Learnで設定したマッピングが、同じCCを使用する他のマッピングを自動で解除するか否かの設定もあります。LearnをキャンセルするにはPノブを再度押します。また、Disting EXではMIDIマッピングを逆に使用して、パラメーターの変更をコントロールするデバイス/ソフトウェアに送り返すことができます。これは「Send CCs」設定(下記)で有効化します。選択肢は「Off」「On preset load」「On parameter change」「Both」です。
I2Cマッピング
I2Cマッピングでは、 I2Cバスを介してアルゴリズムのパラメーターをコントロールする事ができます。全てのパラメーターはひとつのI2Cコントローラーに同時に割り当てる事が可能で、そのコントローラーに対する各パラメーターの応答は個別に設定できます。I2Cマッピングでは、Vノブで手動で値を変更した場合とまったく同じように、基本パラメーター値が設定されます。新しいアルゴリズムに切り替えると、初期設定のI2Cマッピングが適用され、I2Cコントローラ0以上からパラメータ7以上(共通のアテヌバーター・パラメーターを除くすべて)を制御することになります。コントローラーの範囲である0~16383がパラメーター値の全範囲にマッピングされます。マッピング編集画面では、Pノブでカーソルの移動、VまたはRノブでカーソルの値を調整します。カーソル位置は以下の6つです。
- パラメーター番号 – 編集したいパラメーターのマッピングを選択します。
- コントローラー番号 – パラメーターの制御に使用するI2Cコントローラーを選択します。
- 有効/無効の設定
- CCを通常(Norm)として扱うか、対称(Sym)として扱うか。Normの場合、0から16383のレンジが下記のmin&max設定で設定された範囲全体にマッピングされます。Symを選択した場合、値8192がレンジの中間点にマッピングされ、それ以上と以下の値は全レンジの半分でスケーリングされます。対称的なマッピングは、ゼロを中心とした両極の範囲を持つパラメータ(例えばパンニング位置)に適しており、コントローラーの値が8192の時に中心がちょうどゼロになるようにしたい場合に便利です。
- 最小値、および↓
- 最大パラメーター値。
I2Cマッピングの編集中にPノブを押すことで「I2C Learn」モードに入ります。Learnを有効にした後、モジュールが最初に受信したI2Cコントローラーが現在のマッピングに割り当てられます。Learnで設定したマッピングが、同じコントローラーを使用する他のマッピングを自動で解除するか否かの設定もあります。LearnをキャンセルするにはPノブを再度押します。
Loadマッピング
フラッシュ・メモリからマッピングを読み込みます。Pノブを使ってマッピング・スロットを選択します。画面下部にマッピング名が表示されるか、スロットが空の場合は「Empty」が表示されます。また、マッピングが保存されたアルゴリズムも表示されます。
Saveマッピング
現在のモジュールのマッピング状態をフラッシュ・メモリに保存します。Pノブを使ってマッピング・スロットを選択します。スロットが空でない場合にはマッピング名とアルゴリズムが表示されます。
Resetマッピング
現在のマッピングを初期状態(現在のアルゴリズム)にリセットします。
Nameマッピング
現在のマッピング名の編集を行います。マッピングを保存する前に編集すると便利です。Pノブでカーソルを移動、VまたはRノブでカーソルの文字を編集します。
Lord from SD card
MicroSDカードからマッピングを読み込みます。Pノブで読み込みたいマッピングのファイルを選びます。マッピング・ファイルはカードの最上位階層、またはフォルダ内に格納されています。フォルダがファイルを格納している場合、Pノブで選択できる名前に加えて(folder)も表示されます。Pノブを押すことでフォルダに入り、内部のマッピング・ファイルをブラウズできます。<..>を選択することで親フォルダに戻ります。
Save to SD Card
現在のマッピングをSDカードのファイルに保存します。ファイルはルートフォルダに配置され、ファイル名はマッピング名から自動的に生成されます。
Lord All from SD Card
MicroSDカードから「全マッピング」ファイルを読み込みます。この機能は、フラッシュ・メモリに保存された全てのマッピングをカードから読み込むファイルに置き換えることにご注意ください。Pノブを使って読み込むマッピング・ファイルを選択します。
Save All to SD Card
フラッシュ・メモリ内の全てのマッピングをMicroSDカードのファイルに保存します。ファイルはルートフォルダに配置され、ファイル名は「ALL<n>.dexmappings」となります。<n>はファイル名の識別のために増加する数字です。
Single Mode Algorithms
ここでは、Disting EX独自のアルゴリズムを紹介します。シングルモードのアルゴリズムを複数同時に実行することは出来ません。各アルゴリズムの解説動画を視聴するにはアルゴリズム名をクリックします。アルゴリズム毎のパラメーター詳細はマニュアルをご参照ください。
Matrix Mixer – この柔軟な6入力4出力のミキサーは主にCV処理の目的で設計されていますが、オーディオ信号も扱う事ができます。このアルゴリズムでは、静的なミキシングはもちろん、CVマッピングを利用する事で複雑で動的なミキシング、またはCVを生成することも可能です。例えば、入力と出力のオフセットを自動化する事で、システム内のパッチを「マクロ」スタイルでコントロールする4つのCVを生成できます。
Augustus Loop – Expert Sleepersの初期VSTプラグインと同じ名前のこのアルゴリズムは、テープ・ディレイに着想を得たステレオ・ディレイです。マニュアル操作、タップテンポ、外部クロックで設定可能なディレイタイムは最長で約44秒に及びます。テープの速度はCVを介して変更可能で、モジュレーションをパッチする事で繊細なデチューンから極端な変化まで様々な効果を得られます。テープを停止したり逆再生することも出来ます。また、入力5のPitch CV入力は1V/Octスケーリングでテープの速度を変更します。テープの読み込みヘッドは4つあり、それぞれが独立したディレイタイムとステレオ位置を持つことでシンプルなステレオ・ディレイ/ピンポン・ディレイ/ハイブリッドなマルチタップ・ディレイを実現します。Inertia freeモードは、マスター・ディレイタイム、乗数、または4つのL-L, L-R等を変更する事でディレイタイムが変更された時のアルゴリズムの動作に関連します。Inertia freeモードが無効のとき、エフェクトはテープマシンの物理テープヘッドがテープに沿って読み/書きヘッドのギャップを調整するかのように動作します。Inertia freeモードが有効になると、アルゴリズムはディレイタイムの新旧の間をクロスフェードする事で、より繊細な効果を導入します。クロスフェード時間は「Inertia fade time」パラメータで設定出来ます。また、Inertia freeモード有効時のアルゴリズムは48kHzでの作動に制限されます。
SD Multisample – このアルゴリズムはMicroSDカードからのWAVファイルを再生する8ボイス・ポリフォニーのサンプル・プレイヤーです。3つまで設定できるCV/Gate入力のペア、またはMIDIを介してコントロール可能なこのアルゴリズムは、ベロシティー・スイッチおよびサンプル毎のラウンド・ロビンの両方に対応します。また、同社のGeneral CVモジュールに基づくコード/アルペジオ・ジェネレーターを実装します。アルゴリズムはDisting mk4のJ-6 Multisample Audio Playbackに基づいていますが、mk4のそれを上回る能力を提供します。ゲート入力はベロシティー反応型で、ゲート信号の電圧がMIDIノートのベロシティーのように扱われ、5Vで最大値のベロシティーとなります。また、アルゴリズムはScalaソフトウェアを用いたマイクロトーナル・チューニングをサポートします。 – 解説動画2
SD 6 Triggers – 主にドラム・サンプルの再生のためにデザインされたこのアルゴリズムは、独立トリガー入力とサンプル選択を備える6ボイスを提供します。Disting mk4の「I-8 Dual Audio Playback with Z-Speed」を超える能力を持ち、ベロシティー・スイッチおよびサンプル毎のラウンド・ロビンに対応します。このアルゴリズムのゲート入力もまたベロシティー反応型で、ゲート信号の電圧がMIDIノートのベロシティーのように扱われます。5Vが最大ベロシティーに対応します。入力1へのトリガーがボイス1をトリガー、のように各入力が各ボイスをトリガーします。
WAV Recorder – このアルゴリズムは、オーディオ(またはCV)をWAVファイルとしてMicroSDカードに記録します。最大で6チャンネルのオーディオを48または96kHz, 16または24-bitで記録可能です。様々なWAV再生アルゴリズムがさらに多くの可能性を提供しますが、以前の録音を再生することも出来ます。また、自動でマルチ・サンプルをキャプチャーする「Auto Sampler」機能を実装します。 – 解説動画2
Multi Switch – このアルゴリズムは、高度な設定が可能な6つのシーケンシャル/VCスイッチを提供します。Disting EXはDCカップリングで設計されているため、オーディオ/CVのどちらも処理できます。各スイッチは、モジュールの6つの入力を選択する「Input sub-switch」と、モジュールの4つの出力を選択する「Output sub-switch」の2つで構成され、選択された入力は選択された出力へとルーティングされます。複数のスイッチが同一の出力をシェアする場合、それらの信号は合算されます。また、各sub-switchは移行時にクロスフェードする事が可能で、フェードを短くすれば移行時のクリック音を防止し、長く設定すればソース間をブレンドする事ができます。スイッチはCV入力を介して、またはノブ/ボタン/MIDI/i2cによってコントロールされるMacroパラメータのひとつでコントロール可能です。
Looper – このアルゴリズムは、多くのエフェクトペダル型ルーパーに見られるRecord/OverdubとPlayの2つのボタンを備える、同時に使用可能な4つのルーパーを提供します。ルーパーは8/16/32-bit、およびモノラル/ステレオで作動可能で、最長ループ時間は設定によりそれぞれ調整できます。初期設定の16-bit モノラルでは4つのループがそれぞれ約21秒の最長時間となります。各ルーパーの入力および出力は柔軟に設定可能で、各々が入出力をシェアしたり、それぞれに独自の入出力をアサインしたり、その中間に設定することも出来ます。ループそれぞれ、および入力ミックスのモニターに利用できる出力ミックス・コントロールも備えます。各ループ、およびオーバーダビングはクロスフェード可能で、これらは全て滑らかなアンビエントのループを容易に作成する目的でデザインされています。これらのループ作成プロセスは全てクロック入力に同期する事が出来ます。また、各ループは逆方向再生、および半分の速度(1オクターブダウン)で再生することも可能です。
Dream Machine – アメリカの現代音楽家、ラ・モンテ・ヤングの理論に着想を得たこのアルゴリズムはドローンの作成のためにデザインされており、プライム・レシオに基づく非伝統的なハーモニーの探究を実現します。出力は基音と4つのハーモニーから成る、5つの音の組み合わせです。各周波数の関係性を定義するプライム・レシオはパラメーターによってコントロールされます。アルゴリズムは、トーンを生成するためにウェーブテーブル・シンセシスを用います。基音はピュアなサイン波/三角波/矩形波に設定することも可能です。各トーンは、自身のゲート・パラメーターによってコントロールされるシンプルなアタック/リリース・エンヴェロープを実装します。
Filter Bank – このアルゴリズムは、8つの並列ステレオ・バンドパスフィルター/レゾネイターのバンクを提供します。各フィルターのレベルはマニュアルおよびCV、または入力ゲートで起動するエンヴェロープを介してコントロール出来ます。それぞれのピッチもマニュアル/CV/MIDIで設定する事ができます。各フィルターのレベルに適用できる8つのLFOも内蔵します。特にレゾネイターは、Alesis Quadraverb PlusのようにMIDIを介してコードとして演奏するのに適しています。フィルターは、レゾネイター/バンドパス/マルチバンドのいずれかに設定できます。レゾネイターはピークのあるオールパス・フィルターで、中心周波数周辺の狭い帯域を大きく強調します。バンドパス・フィルターは基本的な種類のフィルターで、中心周波数から離れた帯域を減衰させます。上記のどちらのモードでも8つのフィルターは全て完全に独立しています。ただしマルチバンド・モードでは、フィルター周波数によってはマルチバンド・コンプレッサーのような一連のクロスオーバー・ポイントが設定されます。したがって各帯域を通過する周波数は一方でそれ自体の周波数によって制限され、もう一方で次の帯域の周波数によって制限されます。
Poly Wavetable – このアルゴリズムは、ウェーブテーブル・オシレーターを用いた完全な8ボイスのポリフォニック・シンセサイザーです。各ボイスは2つのエンヴェロープ、フィルター、LFO、およびディレイとコーラスのエフェクトを備えます。アルゴリズムはCV/Gate、またはMIDIで同等に演奏できます。CV/Gateを使用する場合、ゲート入力はベロシティー反応型となります。自動コード生成、およびアルペジエイターも提供されます。出力はステレオまたはモノ・ミックス、または各ボイスが独自の出力を持つことも可能です。また、アルゴリズムはScalaを用いたマイクロトーナル・チューニングをサポートします。
Granualtor – グラニュラー・シンセシス・エンジンを実装するこのアルゴリズムは、リアルタイムのオーディオ入力、またはMicroSDカードから読み込んだオーディオのどちらもソース素材として使用できます。グラニュラー・シンセシスは、一般的に100ミリ秒程度の短いサウンドの切れ端、「グレイン」を再生することで機能します。多くの場合、タイミング/長さ/ピッチ/ステレオ・パンといったグレインの様々なプロパティーは、ある程度ランダム化されます。このアルゴリズムでは、グレイン生成はnotesによってコントロールされます。ノートは、Poly Wavetable等と同様にCV/Gateのペア、またはMIDI/i2cを介してエンジンに入力する事が可能で、グレインクラウドの開始と終了のタイミングをコントロールし、グレインのピッチなどの他の機能にも影響を与えます。また、このアルゴリズムには3つの「ドローン」ボイスが用意されており、通常のパラメーターインターフェースで簡単に有効にすることができます。アルゴリズムをオーディオ・プロセッシング・エフェクトとして使用する場合、これらのドローンを1つまたは複数有効にしておき、他のグレイン・パラメータを操作することも可能です。他のアルゴリズム同様に、ノートの演奏には0〜3つのCV/Gateペアを選択できます。CV/Gateペアの選択を減らすことで、パラメーターのCVコントロールにマッピングする入力をより多く確保できます(初期設定でのCV/Gateは1組)。なお、オーディオを録音するかMicroSDカードからオーディオを読み込むまではアルゴリズムは機能しません。
Multi FX – このアルゴリズムは柔軟なステレオ・マルチエフェクターで、EQ/ピッチエフェクト/ディレイ/リバーブを同時に使用できます。また、クリエイティヴに応用できるVariable Sample Rate機能の提供により、DSPの内部サンプリング周波数を変更できます。
Dual Mode Algorithms
以下はデュアルモードで実行する、Disting mk4に実装されていないアルゴリズムです。
J-5 Oscilloscope – このアルゴリズムは、シンプルで便利な2チャンネルのオシロスコープを実装します。XおよびYは2つのシグナル入力で、信号のコピーがAおよびBから出力されます。パラメーター0で設定できるディスプレイモードでは4種類から表示方法を選択できます。
K-6 24dB/Oct VCF – このアルゴリズムは、4ポールのトランジスター・ラダー・フィルターをエミュレートする24dB/Octのローパス・フィルターです。Xはオーディオ入力、AとBはどちらもオーディオ出力です。Yは1V/Oct応答のカットオフ周波数CV入力、Zはレゾナンス・コントロールで高い設定値では自己発振も可能です。
K-7 Delay Stereo – このアルゴリズムは、Disting mk4の「Stereo Clockable SD Delay」と同一の機能とパラメーターを持ちますが、MicroSDカードを使用しない点が異なり、最長ディレイタイムが10.9秒となります。
K-8 Delay Stereo Clk – このアルゴリズムもDisting mk4の「Stereo Clockable SD Delay(Z clock)」と同一の機能とパラメーターを持ちますが、MicroSDカードを使用しない点が異なり、最長ディレイタイムが10.9秒となります。
N-8 Dual VCO – このアルゴリズムはデュアル・ウェーブテーブルVCOを提供します。XおよびYは1V/Oct応答のピッチ入力で、0V=C3(約130.81Hz)となります。AおよびBはそれぞれ対応するVCOの出力で、パラメーター0でウェーブテーブルを選択します。