MUSICAL FEATURES
Night Riderは、モジュレーション・シーケンサーを備える4チャンネルのフィルターバンク/レゾネーターです。
複数のパラメータを統合的にコントロールできる4基のマルチモード・フィルターと6ステージのモジュレーション・シーケンサーの組み合わせにより、70年代のフェイザーフィルターを彷彿とするスウィープの作成、ボーカル・フォルマントの軋みや喘鳴現象の再現、カープラス・ストロングやフィルター・ピンギングなど、多彩なエフェクト効果をステレオで実現します。
- 複数のモデルで構成される4つのフィルター・ブロック:
- 6dB BPF [Ping可能]
- 12dB BPF [Ping可能]
- 12dB 可変幅BPF
- カープラス・ストロング用Combフィルター
- All Pass フィルター
- デュアル入力/ステレオ出力
- ステレオ・フィールドにおける各フィルターのPANコントロール
- 入力はモノラル[CH1 – 1,2,3,4]またはステレオ[CH1 – 1,2 CH2 – 3,4]で動作
- クロック、スキャン、介入が可能なモジュレーションシーケンサー
- シーケンサーの補間スキャニング、1V/Oct周波数オフセット、スルー量、
レゾナンス量、シーケンスアニメーション用クロックまたはMIDIクロック入力、MIDI CCのためのCV入力 - フィルターやアニメーションの設定、プリセットフォルマントやコードベースのフィルター設定などを保存・検索するためのメモリースロット
HOW TO USE
Interface
マウスオーバーで各部の説明が表示されます。 IN 1/2にモノ・ジャックを使った場合、フィルター入力はすべてIN 1からの入力となります。ステレオ・ジャックを使った場合、IN 1はフィルター1と2へ、IN 2はフィルター3と4への入力となります。
フィルター・バンク
Night Riderのメイン機能である4つのフィルターは、下記で説明するフィルタータイプ設定により6dB BPF [Ping可能],12dB BPF [Ping可能],12dB 可変幅BPF,カープラス・ストロング用Combフィルター,All Pass フィルターのどれかで動作します(フィルターごとの機能は同じです)。直列での組み合わせとなるALL PASS[APF]を除く全モードで並列の組み合わせとなります。
調整できるフィルターごとのパラメータは、周波数、音量、ステレオ位置です。ディスプレイの一番上の列がフィルター1を、続いてフィルター2、というようにディスプレイ全体の赤色のLEDで示されます。編集中のパラメータに応じて、これら赤色のLEDの表示は変化します。
4つのフィルターの周波数またはレベルを調整するには、モジュール上部の4つのエンコーダー・ノブを使います。いずれかのノブをクリックすることで、周波数の調整とレベル調整が切り替わります。任意のノブを3回クリックすることで、各フィルターのステレオフィールド内でのパン位置を調整し、再度クリックすることで周波数/レベルの調整に戻ります。4つのフィルターの周波数を同時にコントロールするには、‘ Next ●‘ボタンを押しながら上部のエンコーダーのどれかを回すか、パッチしない状態でF CVのアッテヌバーターを回します。
FREQUENCY編集時:
LEVEL編集時:
Levelバーの右側5つの明るいLEDは、フィルターがサチュレーション・クリッピングの領域に入ることを示します。歪みのないクリーンなサウンドを得るには、5つのクリッピングLEDよりも低い値にレベルを設定します。
PAN編集時:
RES CONTROLまたはRES CV INPUTでレゾナンスやフィードバックが高い値に設定された場合、フィルターがオリジナルの信号の強いハーモニクスに一致することで、信号が突然大きくなることがあります。これにより意図しないサチュレーションが生じる場合は、フィルターのレベルを下げてください。
モジュレーション・シーケンサー
Night Riderのモジュレーション・シーケンサー・セクションはフィルター毎にそれぞれ1つずつ、6ステージのアニメーションで構成され、ステージ毎にフィルター周波数、フィルターのレベル、パンニングを設定できます。
あるステージから別のステージへとシーケンサーをアニメーションさせることで、パラメータはある値から別の値へと変化します。SLEWの値を大きくすることで、周波数の変化にグライドを作成し、小さく設定した場合は周波数とレベルの変化はより素早くなります。
ディスプレイ下段、6つある緑色のLEDの列は、モジュレーション・シーケンサーの現在のステージ位置を示します。シーケンサーのステージ位置は、’ Next ●‘と’ Prev ●’ボタンを使って、または外部クロックやCLK/MIDI Inputを介したMIDIクロックで移動できます。また、ステージ位置はPOSノブ、またはPOS Inputを介した外部CVで移動および補間することもできます。
シーケンサー・ステージ位置の最大および最小値は、SEQUENCE RANGEオプションで設定することができます。
外部クロックを使用してシーケンサーをトリガーする場合(MIDIまたはアナログ)、SEQUENCE CLOCK DIVISION設定を使ってタイミングを分割できます。
シーケンサーの進行方向を調整するには、SEQUENCE MODEオプションを利用します。
ステージ編集モード
‘ PREV ● ‘ボタンを約1秒間押し続けることでSTAGE EDIT MODE(ステージ編集モード)を有効化します。単独の緑色LEDの点滅で示されるこのモードは、モジュレーション・シーケンサーの動作中であっても個々のシーケンス・ステージを編集することができます。フィルター・ノブの操作が数秒間ない場合、このモードは終了します。
設定モード
設定モードでは、フィルタータイプの設定、シーケンサーの設定が可能です。’ PREV ● ‘を押しながら上段のエンコーダー・ノブを操作することで設定モードになり、設定対象はどのノブを操作するかで決まります。
KNOB 1: フィルタータイプ
使用するフィルタータイプを選択します。
-
6db BPF: 可変レゾナンスのバンドパス・フィルターです。レゾナンス設定を高くすることでフィルターを’ Ping ‘できます。パルスやクロックをオーディオ入力に使用し、ボンゴや木琴のようなサウンドを作成可能です。また、すべてのバンドパス・フィルターはボーカル・フォルマント系のサウンドの作成にも適しています。
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12db BPF: より狭いサウンドの可変レゾナンス、急峻なスロープを持つバンドパス・フィルターです。このタイプもレゾナンス値を上げることで’ Ping ‘に使用できます。
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Variable Width BPF: 可変帯域幅のバンドパス・フィルター(RES CONTROLを使用)です。幅の設定により、より繊細な、極端でないバンドパス効果が得られます。
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Karplus-Strong style Comb Filter: フランジャー系のフィルター効果に適した、可変フィードバック(RES CONTROLを使用)、ディレイラインに基づくフィルターです。フィードバックを高い値に設定し、短いノイズ・ブリップや強い倍音のパルスでフィルターを励起することで、物理モデリングされた弦のようなサウンドを生成します。なお、周波数が急激に変化した場合は予期しない人為現象が生じる場合があります。
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All Pass Filter 1 [ delay-line based ]: ドライ信号のミキシングを変更できる、ディレイライン・ベースのコム・フィルター(RES CONTROLを使用)です。ドライ信号のミックスを増やすことでノッチが強まり、フィルター周波数のスウィープで位相シフト効果を作成します。一般的に、高い周波数でのフィルター周波数間隔が狭く、複雑な、倍音の強い入力信号に適用する際に適しています。なお、周波数が急激に変化した場合は予期しない人為現象が生じる場合があります。
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All Pass Filter 2 [ IIR based ]: ドライ信号のミキシングを変更できる、IIRベースのフィルター(RES CONTROLを使用)です。ドライ信号のミックスを増やすことでノッチが強まり、フィルター周波数のスウィープで位相シフト効果を作成します。一般的に、高い周波数でのフィルター周波数間隔が狭く、複雑な、倍音の強い入力信号に適用する際に適しています。このフィルターは、モジュレーション時のピッチシフトもディレイライン・バージョンよりも繊細なものとなります。
なお、2つのAll Pass Filterモードでは、フィルターは直列にカスケードされ、レベル・コントロールの設定は個々のフィルターではなく、全体のレベルを調整します。また、Out 1とOut 2からは、フィルタリングされた信号と減算ドライ、および加算ドライのミックスが出力されるため、パン・コントロールは使用できません。
KNOB 2: シーケンスのクロック・ディヴィジョン
この設定では、モジュレーション・シーケンサーのステージ進行をトリガーするCLOCK INPUTを細分化します。例えば、’ 4 ‘に設定するとクロックパルス4つ毎にシーケンサーの進行をトリガーします。この設定はMIDIおよびアナログ・クロック入力に適用されます。なお、MIDI CLOCK INPUTはクロック分割を行う前にあらかじめ6分割されます。[ MIDIクロックが24ppqnであるため ]
KNOB 3: シーケンスの長さ
シーケンサー・ステージの最大/最小の長さを設定します。ノブを押すことで、最小と最大値の設定を切り替えます。最小値は左向きの矢印で、最大値は右向きの矢印で、有効な長さは緑色LEDの点灯で示されます。
KNOB 4: シーケンス・モード
- Forwards – 有効なクロックパルスでシーケンサーは右へと進行します。最終ステージ(max)の後、シーケンスは最初(min)のステージにリセットします。
- Backwards – 有効なクロックパルスでシーケンサーは左へと進行します。最終ステージ(min)の後、シーケンスは最初(max)のステージにリセットします。
- Ping-Pong – 有効なクロックパルスでシーケンサーは右へと進行します。maxステージのあと、シーケンサーは反転して左へと向かいます。シーケンサーはmaxおよびminに到達するたびに繰り返し方向転換します。
- Random – 有効なクロックパルスで、シーケンサーはmix/maxステージの範囲内でランダムにステージを選択します。
MEMORY
‘ Memory ● ‘ボタンを押しながらノブ1またはノブ2を回すことで、フィルターバンクおよびモジュレーション・シーケンスのパラメータの保存と読込を行うPATCH STORAGE MODEを起動します。
-
KNOB 1 – LOAD PATCH MEMORY #1-19:
以前に保存したフィルターバンクとシーケンサー設定を読み込みます。ノブを回してパッチメモリー番号を選択、ノブを押して読み込みを実行します。 -
KNOB 2 – SAVE PATCH MEMORY #1-19:
現在のフィルターバンク、およびシーケンサー設定を保存します。ノブを回してパッチメモリー番号を選択、ノブを押して保存を実行します。
KNOB 4 – LOAD FILTER PRESETS:
定義済みのフィルター設定を現在のステージに読み込むことができます。
13のボーカル・フォルマント、および13のコードを利用できます。ノブを回してプリセット番号を選択、ノブを押して現在のステージにプリセット設定を読み込みます。
ボーカル・フォルマント[ 接頭辞P ] | コード[ 接頭辞C ] |
---|---|
1 -ee | 1 -Major |
2 -i | 2 -Minor |
3 -ay | 3 -Diminished |
4 -e | 4 -Augmented |
5 -au | 5 -Major 7th |
6 -u | 6 -Minor 7th |
7 -a | 7 -Dominant 7th |
8 -aw | 8 -Diminished 7th |
9 -oo | 9 -Augumented 7th |
10 -ar | 10 -Suspended 2nd |
11 -er | 11 -Suspended 4th |
12 -ir | 12 -Suspended 2nd |
13 -iir | 13 -Suspended 4th |
ファームウェアの更新
RYK Modular Firmwareページでファームウェアのリリース情報を確認できます。
更新するには、はじめにモジュールの電源を投入します。モジュール背面には’ FIRMWARE ‘と’ RESET ‘、2つの小さなスイッチがあります。
FIRMWAREボタンを押しながらRESETボタンをクリックし、FIRMWAREボタンを離します。
USB Bマイクロケーブルでモジュールとコンピュータを接続します。この時に使用するケーブルは、電源供給のみではなく、データ転送に対応した高品質なケーブルであることを確認してください。また、ケーブルはハブを介さずに直接コンピュータに接続します。
‘ RPI-RP2 ‘という名前のUSBディスクがコンピュータに表示されます。UF2ファームウェア・ファイルを’ RIP-RP2 ‘ディスクにコピーまたはドラッグします。問題がなければ、ディスクは自動的に取り出され、モジュールは新しいファームウェアで再起動します。