MUSICAL FEATURES
4ms Dual Looping Delayはクリエイティブなシンセシスのための先進的なオーディオプロセッサーで、Lexicon PCM42の開発を行ったGary Hallと4msの共同開発によるモジュールです。テープやアナログのエミュレーションではなく、ダイナミックにオーディオを捕まえてプロセスする為に非常にクリアな音質、ディレイ、ルーピング、サンプル精度の同期といった性質や機能を備えています。
Lexicon PCM42などに見られるようなルーピングディレイは、70年代終わりから80年代に発達し、長い時間のオーディオのメモリやルーピング機能を備えていましたが、録音や再生のトリガーなどは不可能でした。デフォルトではルーピングディレイは絶えず録音と再生を続けますが、録音はHOLDボタンによりいつでも停止させ、それまでの録音を無限にループしていくことが可能です。TIMEノブはHOLDされていない時はディレイ時間をコントロールしますが、HOLDされるとループの長さをコントロールします。またクロック入力により、ループされている音をゲートシーケンサーなどでコントロール可能です。
- 2つの独立したディレイ/ループチャンネルを持ち、共通の時間ベースで同期することが可能です
- デフォルトの16ビットモードではチャンネル毎に3分近いオーディオ(2分54秒)をメモリ可能(24ビット時は1分27秒)
- 48kHz/16-bitのサンプリングレート、オプションで24ビットでの記録も可能
- 低ノイズ、低ジッターの非常にクリーンなサウンド
- モノ・ステレオ・デュアルでの使用に便利な入出力の内部結線
- ベースとなるクロックはタップテンポやクロック入力で設定可能
- クロックの倍数や整数分の1でディレイ・ループ時間を設定可能(非同期での設定も可能)。CVやスイッチでの切り替えにも対応
- サンプル精度でのクロック出力により完全な同期が可能
- チャンネル毎にループに同期したクロック出力つき
- スイッチを併用することでディレイ時間のレンジを1/8ビート(クロック)から32ビートまで設定可能
- デジタルフィードバックは110%まで可能
- Dry/Wetとは別に、DELAY FEEDによってディレイレベルのコントロールが可能
- 無限ホールドモードでは録音の入力を無効にし100%のループを行います
- リバースモードではメモリの内容を逆再生します
- 外部クロック入力はオーディオレンジ(2kHZ)まで同期可能、その時ディレイ時間は16kHzまで設定可能
- 非同期モードでは、Time CVジャックは1V/Octでディレイ時間をコントロールする為、フィードバックを上げてノイズバーストやトリガーを入力することでKarplus-Strongシンセシスによる音源として使用可能です
- ループをホールドしているとき、ノブやCVで再生位置やループの長さのコントロールが可能
- トリガーやゲート入力によってホールドやリバース状態の切り替えが可能
- Send/Returnジャックを使用し、フィードバックを外部経路で行うことが可能
- ディレイ時間、レベル、フィードバックのCVコントロール可能
- オーディオを入力することでファームウェアアップデート可能
- 設定を変更し記憶するシステム設定モード搭載
- Pingクロックはチャンネルごとにロック可能な為、別々のベースクロックで各チャンネルを動作させることもできます
- リバースとホールドを同時に長押しすることで、チャンネルごとにメモリーの内容をクリア可能
CONTROL
HOW TO USE
DLDの操作は、高機能なディレイとして動作させる場合とHOLDボタンをONにしてルーパーとして動作させる場合で大きく異なります。
DELAY (HOLD=OFF)
HOLDボタンがOFFの時、そのチャンネルはディレイとして動作します。それぞれのチャンネルの入出力にパッチすれば、各チャンネルを独立したディレイとして使用することも可能です。またIN Bにパッチされていない時、IN Aへのシグナルが内部結線によってIN Bにも入力され、OUT Bにパッチされていない時はCHANNEL Bディレイの出力(OUT B)はOUT Aにミックスされて出力されます。この為モノ/ステレオ入力のステレオディレイや、2つのディレイをミックスさせた複雑なリズミックディレイなどとしても機能します。
ディレイ時間は、PINGジャックに入力されたクロック、またはPINGボタンをタップした時間で動作するクロックの1/8~32倍までの時間に同期して設定することが可能です。ディレイ時間はTIMEノブとスイッチの組み合わせで設定します。
- スイッチが下(1/8)の時:TIMEノブは、ディレイ時間をPINGクロックの1/8倍から16/8倍まで設定可能です
- スイッチが真ん中(=)の時: TIMEノブは、ディレイ時間をPINGクロックの1倍から16倍まで設定可能です
- スイッチが上(+16)の時: TIMEノブは、ディレイ時間をPINGクロックの17倍から32倍まで設定可能です
パッチングやCVコントロールを駆使して、とても複雑なリズミックディレイを生み出すことも可能です。
その他の機能として、REVERSEボタンやREVERSEジャックにトリガーを入力することで、ディレイは逆方向に再生されます。またDLDは非常に長い時間のオーディオバッファを持つので、ディレイ時間の動かし方次第では、かなり前に入力したオーディオが意図せずにディレイシグナルとして出てくる場合があります。そのような場合はREVERSEとHOLDを長押しすることで、バッファに記録されたオーディオシグナルをクリアすることができます。
非同期モード 上の動作は、DLDの基本的な同期(クォンタイズ)モードとしての動作となります。しかしHOLDボタンを押しながらTIMEノブを回すことで、ディレイは非同期(アンクォンタイズ)モードとなり、ディレイ時間をクロックの倍数(や整数分の1)以外の時間に連続的に設定することが可能になります。また非同期モードではTIME CVジャックの働きが変更されます。TIME CVジャックは、ディレイ時間を1V/Octの周波数ベースでコントロールするようになります。同期モードでは高い電圧を入れるとディレイ時間が長くなりますが、非同期モードでは高い電圧を入れると周波数が高くなる、つまりディレイ時間が短くなります。CV入力が1V/Octで反応する時、PINGクロックをオーディオレートにしてフィードバックを上げ、ノイズバーストや短いトリガーをディレイに入力することで音源となり、またそのピッチをTIME CVでコントロールすることが可能になります(Karplus-Strongシンセシス)。厳密に1V/Octの反応でディレイ時間をコントロールしたい時はスイッチを真ん中または下の位置にしてください。
Holdボタンを押さずにTIMEノブを回すと、そのチャンネルは通常の同期モードに戻ります。またTIME CVやTIMEノブ以外のノブやジャック、ボタンの基本的な役割は同期モードと非同期モードで同じです。
LOOPER (HOLD=ON)
HOLDボタンがONの時、そのチャンネルは直前まで記録されていたオーディオをループするルーパーとして動作します。この時ディレイへ入力されるシグナルはもはやオーディオバッファに記録されず、今まで記録した音のみをループします。HOLDがONになった時にDLDがディレイ出力として呼び出していた(WET)バッファ上のポイントがループのスタートポイント、またDLDが記録していた(DRY)バッファ上のポイントがループのエンドポイントになります。この為、ループの長さはTIMEノブ/CVで設定しているディレイ時間と同じになり、またホールドモード中はTIMEノブ/CVがループの長さをコントロールすることになります。
ホールドモードでは、FEEDBACKノブはただ回していても機能しません。しかし、HOLDボタンを押しながら回すことでループの再生位置をコントロールすることが可能です。HOLDボタンを押しながら、FEEDBACKノブを0%から100%まで動かすとループ1周の長さ分だけ再生位置がスクロールします。HOLDボタンを押さなければFEEDBACKノブは無効なので、
- HOLDを押さずにFEEDBACK100%に設定
- HOLDを押しながらFEEDBACK0%に動かす
- HOLDを離す
という操作を繰り返すことで、バッファ中のループの位置をドンドンと動かしていくことができます。
またFEEDBACK CV入力によってループ位置のCVコントロールを行うには、その前にHOLDボタンを押しながら少しでもFEEDBACKノブを動かすことが必要です。HOLDを押さずにFEEDBACKノブを動かすとその瞬間にループ位置のCVコントロールは無効になります。ループ時間を非常に短くしてループ位置をCVでコントロールするするとグラニュラー効果に似た効果が得られます。
FIRMWARE UPDATE
ファームウェアバージョン確認法
2016年8月の最新ファームウェアはバージョン5です。7月以前に当店で販売したDLDのファームウェアバージョンは4以下となります。ファームウェアのバージョンを確認するには、DLDの電源を入れて2つのスイッチを上のポジション(+16)にしてから、5つのボタンを数秒間、全て押してください。点灯するボタンでバージョンが分かります。
ファームウェアアップデート法
※ファームウェアバージョンが3以下の場合、ご使用の電源等によりファームウェアアップデート待機状態に入れないことがあります。その場合は、電源をOFFにしてから数秒のうちにステップ4を行うと待機状態に入れます。何回か試してもうまくいかない場合は、当店でアップデートを行いますのでご連絡ください(往復の送料はお客様負担となります)。
DLDでは、オーディオファイルを流し込むことでファームウェアアップデートを行います。再生デバイス(以下デバイスと呼びます)はPCやスマートフォンを使用してください。PC等では再生条件がシビアになることがあり、スマートフォンからフルボリュームで再生するのを推奨します。
- 1. ファームウェアオーディオファイルをダウンロードします
- 2. DLDの電源を落とし、デバイスのオーディオ出力をパッチケーブルなどでDLDのInput Bに繋いでください。ステレオケーブルでも構いません。Output Bからは流し込むオーディオをモニターすることができますが、非常にノイジーな音ですので音量を下げてモニターしてください。
- 3. デバイスや再生ソフトの音量を100%にセットします。通知音や着信音等、他の音が出ないようにしてください。
- 4. Pingボタンと両方のReverseボタン、計3つのボタンを押しながらDLDの電源を入れます。Hold Aボタンが点滅してDLDがファームウェアアップデート待機状態となったことを確認し、3つのボタンを離してください
- 5. ファイル再生を開始してください。Channel AやChannel BのLoop LEDが点滅していたらアップデートプロセスに入っています。この時ファームウェアファイル以外の音が鳴らないよう気を付けてください。上に書いたようにOutput Bから入力している音をモニターし、確認できます。
- 6. ファイル再生が完了する前にオーディオが止まったり、LEDの点滅が止まってしまったらアップデートプロセスが失敗しています。Reverse Aを押すとHold Aが再び点滅してファームウェアアップデート待機状態にリセットされます。オーディオを最初から再生して再度アップデートを試みてください。再度再生する前に、ダウンロードしたオーディオファイルが完全か、他の音が鳴らないかなどを確認してください。
- 7. アップデートが成功した場合はDLDが通常の動作モードに戻ります。
ファクトリーリセット
ファームウェアアップデート後は、場合によりファクトリーリセットが必要になります。ファクトリーリセットの手順は次の通りです。
- 1. DLDから全てのケーブルを抜き、電源を落とします
- 2. Time Aスイッチを下(1/8)、Time Bスイッチを上(+16)の位置にします
- 3. Hold A、Hold B、Reverse Bボタンを押しながらDLDの電源を入れ、その後ボタンを離します。Channel AとBのReverse/Holde4つのボタンが点滅しているのが確認できます
- 4. Time Aスイッチを上、Time Bスイッチを下の位置にします
- 5. 5つのボタン全てを10秒間押し続けます
- 6. 全てのボタンが早く点滅するようになったらボタンを離します
- 7. DLDの電源を切り、再起動すればファクトリーリセット完了です