MUSICAL FEATURES
Klavis Mixwitchは反転やオフセット、ミックスといった電圧処理機能とアッテネータつきスイッチを巧みに融合したユーティリティモジュールです。
- ノーマライズにより4入力1出力としても使える2基の2入力1出力ミキサーモード
- ミュート機能をミキサーごとに装備
- 極性反転機能をLED付きの入力ごとに装備
- ミキサーごとにノブのカーブ応答を切り替え可能
- 各出力ごとの2つのLEDが出力信号の振幅と極性を表示
- 接続のない入力へは10Vが内部結線され簡単にオフセット電圧が作れます
- DCカップリング、オーディオ信号はアナログ回路のみを通過します
- スイッチ/セレクターモード
- 4入力、2入力のみ、または無効の切り替えが可能
- オフセットや反転などの機能も有効
- clock/triggerを介して入力をシーケンシャルに、またはランダムに選択
- CVでも入力選択可能
- CVおよびクロック制御はオーディオレートに対応
- Bのみスイッチとして、Aをミキサーとして使うことも可能
- パワーサイクル後も設定を保持
- 金属製シャフトの高品質な操作ノブ
- 薄型&コンパクトなデザイン
HOW TO USE
Mixwitchでは、ミキサーモード、スイッチモードどちらのモードにおいても、各入力はアッテネータを通過し、ボタンにより反転することが可能です。入力にパッチされていない場合10Vが内部結線されオフセット電圧を入力することができます。またABそれぞれ、ボタンで出力をミュートしたり、カーブの特性をCV向けのリニアとオーディオ向けのLogで切り替えることができ、どちらの周波数レンジでも快適な操作性を保ちます。
ミキサーモードの場合、入力はミックスされて出力されます。出力のAにパッチされていないとBからミックスされて出力されるため、2:1ミキサー2つではなく、4:1ミキサー1つという使用法も可能です。
Switcherボタンを押すとシーケンシャルスイッチモードとなり、クロックまたはCVで入力を切り替えて出力します。
Mixer Mode
Mixwitchのミキサーセクションは、AとBという2つの2入力ミキサーで構成されます。ノブは0から2倍強までゲインをコントロールします。
入出力
入力に信号のパッチがない場合、±10Vまでのオフセットを作成できます。これにより、ミキサーの他の入力への信号を簡単にオフセットできます。出力AおよびBは、それぞれ対応するミキサーの入力1と2をサミングします。ミキサーAの出力にパッチがない場合、その信号は出力Bの信号に加わるため、4入力1出力のミキサーとして利用できます。出力の赤色と青色のLEDは、出力信号の振幅と極性を示します。
ボタン
- +/-ボタンで入力信号の反転ができます
- LogボタンとLEDは、ミキサーの両入力に作用します。このボタンは操作ノブの曲線応答を線形(リニア)から対数形(ロガリズミック)に変更し、全体のゲインを6dB減少させることで、オーディオのクリッピングを回避します。通常、リニア応答はCVを組み合わせる際に、ログ応答はオーディオ信号を扱う場合に適しています。もちろん、ログ設定をCVに対して使用して繊細なレベル設定を行うために使うこともできます。
- Offボタンは、ミキサーの両入力に作用するミュート・コントロールです。ミキサーがミュート状態の時は+/-LEDが消灯します。
Switcher Mode
Switcherボタンを押してスイッチャーを有効化することで、モジュールはゲインおよび極性を調整可能なVCスイッチとして動作します。スイッチャーは、4つの入力すべてに対して、またはミキサーBの入力2つのみに対して機能します。デフォルトではスイッチモードではなくミキサーモードとなっており、セクション内の3つのLEDも消灯しています。Switcherボタンをクリックするとスイッチモードとなり、ボタンを押すたびに次の順番でモードが変更されます。
- ミキサーモード(デフォルト)
- 4チャンネルをCVでスイッチ
- 4チャンネルをクロックごとに順番にスイッチ
- 4チャンネルをクロックごとにランダムにスイッチ
- Bの2入力をCVでスイッチ。Aはミキサーとして動作します。
- Bの2入力をクロックでスイッチ(交互に切り替え)。Aはミキサーとして動作します。
Applications
1. Control Signal Mixer
2つのモジュレーション信号を処理するだけでなく、一方の入力はパッチをせずにオープンにし、他方の入力信号に加算または減算できる一定電圧を導入することができます。ミュート機能により、必要に応じて起動できる正確な設定(トランスポーズ・モジュレーション等)を準備することができます。
2. Audio Mixer
Log LEDがオンになると、ミキサーは自信をオーディオ用途に再構成します。2つのオーディオソースを通常レベルで入力した場合、ゲインは自動的に6dB減少されるため出力がクリップすることはありません。 これにより、ノブの操作範囲全体で正確なレベル設定を実行できます。ミキサーAの出力にケーブルを接続せずにオープンにすることで、4つの入力信号をミキサーBの出力から得ることができます。
3. Four Step Sequencer / Randomizer
スイッチャーをクロックモードに設定し、ミキサーの入力をすべて未接続にします。Clk入力に周期的な矩形波/パルスを送ることで、Mixwitchを4ステップのシーケンサーとして使用できます。Random Clockモードで使用した場合は、より興味深い結果が得られます。出力Bはオシレーターの1V/Oct入力に、クロックに使用した信号はエンヴェロープ・ジェネレーターへのゲート/トリガーに利用できます。ミキサーの4つのノブで音階を指定します。
4. Simple Sub-Octaves Generator
スイッチャーをClock B-onlyモードに設定し、Clk入力にオーディオ信号を送ると、ミキサーBの2つの入力がオーディオ周期の度に切り替わります。ミキサーBのノブで生成されるサブ・オクターブの振幅と極性を設定できます。結果のオーディオ信号に生じるDCオフセットを回避するには、ミキサーの一方のチャンネルを正極に、他方を負極にし、2つのノブの振幅を同程度に設定します。
5. Complex Sub-Octaves Generator
上記4番のバリエーションであるこの例では、スイッチャーを4-channel clockモードで使用します。Clk入力へのオーディオ信号が4つの入力をそれぞれ順番に呼び出します。ノブの設定に応じて、コントロール信号よりも1オクターブ and/or 2オクターブ低いオーディオ信号を作成できます。
6. Simple Granular Synthesis
モジュールを上記6番と同様の初期設定にし、何種類かの波形を同時に利用できるVCOを用意します。これらの波形をミキサーの各入力に送ります。クロックに使用する波形もミックスの一部とすることができます。新規サイクルごとに異なる波形が順番に再生される4種の波形の繰り返しシーケンスが完成し、自由にミックスすることができます。1種の波形を複数のミキサー入力に接続することで、極性を変えて複数回シーケンスに登場させることも可能です。
7. Multiple-segment Wavesahper
スイッチャーを4-channel CV controlモードに設定します。スイッチャーは電圧に応じた入力を指定できるため、オーディオ波形を使用して波形のサイクル中にすべての入力を循環させます。このような目的に適したCV形状はノコギリ波です。
- A: ミキサーの4つの入力をすべて未接続でオープンにすると、ミキサーBの出力が生成する結果の形状はレベルと極性を調整できるフラットな段階状の信号となります。レベルは制御電圧のCVに比例して規則的に配置されるため、典型的なビットクラッシング・ウェーブシェイピングとして利用できます。設定を変えると、よりクリエイティヴな波形を得ることができます。
- B: オシレーターからのいくつかの波形をミキサーの1つ、または複数の入力に送信することでリッチなバリエーションを作成できます。極性スイッチを使うことで、結果のサウンドを劇的に変更することもできます。ノコギリ歯の傾斜が進むにつれて、各ミキサーの入力がその波形の断片をごくわずかな時間だけ提供します。コントロール電圧値が0の場合はスイッチャーが選択を行わないため、カバーするチャンネルの範囲、および「選択なし」をノコギリ波のスイープの一部とするかを定義するためにCVをオフセットしたりできます。
8. Phase-controlled Wave-stitcher
スイッチャーをCV B-onlyに設定し、オシレーターからのPWM信号をコントロール波形として使用します。「選択なし」状態を回避するため、ミキサーAを介してPWMを最初に処理し、必要に応じて正極のオフセットを追加します。ミキサーBの入力にサイン波、ノコギリ波、三角波や複合波形など、 1つまたは2つのオーディオ波形を制御用オシレーターから送ります。続いてオシレーターのパルス幅をマニュアルで、またはモジュレーションを用いて調整することで綴じられる波形の比率が変化し、結果としてミキサーBの出力で得られる波形の形状が変化します。
9. Voltage Controlled Transposer
スイッチャーを2または4-channel CV controlモードに設定し、任意のソースを接続します。コントロール電圧により、ミキサーのノブで定義できる正確なトランスポーズ電圧を提供します。興味深いことに、トランスポーズのステップは、コントロール電圧のように必ずしも増加する必要はありません。「選択なし」機能は「トランスポーズなし」オプションを提供します。
10. Drum Randomizer
任意のリズムパターン・ジェネレーターとの組み合わせて機能する例です。単一のVCAとエンヴェロープ・ジェネレーターを使って、4つの異なるサウンドのセットを作成できます。スイッチャーをClocked Randomモードに設定し、ステップごとに生成されるゲート/トリガー信号を入力します。
11. Digital Inverter / Signal Amplifier
どちらかのミキサーを使用し、極性を負極に設定した一方の入力で信号を受信し、接続されていないもう一方の入力で信号が負の範囲になるように補正します。赤色のLEDで出力信号が正極にあるかを確認できます。
12. Voltage Window Comparator
定義した特定の電圧範囲内に信号がある場合にのみ結果(スイッチングまたはゲーティング)を得ることができる例です。出力AをスイッチャーのCV入力にパッチし、B-only CV controlモードに設定します。比較される信号を入力Aに接続し、ゲイン(=window spread)はノブA1を、オフセットはノブA2を使用することで、スイッチャーCVが1ボルトよりも高く2ボルトよりも低い場合のみに出力B1が選択されるように調整することができます。使用するコントロール電圧が負極の範囲にある場合は反転が必要になることがあります。B1ノブを調整して、コントロール電圧が範囲内にある場合にシンプルなゲートを作成することも、B1に着信する信号を作成することも可能です。また、CVコントロールが2ボルト以上の場合、入力B2は自身の信号を利用することもできます。
13. Drum Selection in Sequencing applicartions
通常、シーケンサーのトラック数には制限があるため、使いたいサウンドごとに専用のトラックを割り当てることはできません。次のパッチでは、単一のパターン・トラックと、それに関連するCVトラックから最大で4つまでのサウンドを選択することを可能にします。スイッチャーはCV controlモードに設定します。各ノブは専用のパーカッション・ミキサーとして機能します。
14. Random clocking – Chance generator
スイッチャーをRandom Clockモードに設定し、Clock入力にクロック信号を入力します。ノブの設定値を「1」に調整することで、「1」の発生を定義します。「1」 である2つのチャンネルが連続して再生された場合、2つの個別のトリガーの代わりに長いゲートが生成されます。これを避けるには、「1」に設定するミキサーにクロック信号を入力します。
15. Two input logic AND/NAND gate
AND演算は、2つのソース信号が同時に「1」の時に「1」の結果を出力する機能です。 スイッチャーをCV B-onlyモードに設定し、一方の信号をCV入力に、もう一方の信号はCVコントロールが「1」の時に指定される入力Bに送ります。2つの信号が「1」の時、出力Bが「1」となります。NANDが必要な場合、セクションAを利用して出力Bを反転することができます。
16. Two input logic XOR gate – Digital Ring-Modulator
XOR演算は、2つの入力のうち1つが「1」の時だけに出力が1になるよう、2つの信号を結合する機能です。
この例では、ARP OdysseyやKorg MS-20に実装されたデジタル・リングモジュレーターを再現します。
Mixwitchでは、セクションAを使って2つの信号を同じレベルでミックスし、その加法の結果をセクションBにマップすることで実現します。出力AはCV B-onlyモードに設定されたスイッチャーをコントロールします。ノブB1を開いてロジック「1」レベルを作成し、ノブB2はゼロのままにしておきます。ミキサーAの各レベルを調整することで、以下のような結果となります。
- 着信信号が無い場合は出力A=0となるため、スイッチャーは「選択なし」を指定、出力B=0となります。
- 入力Aのどちらかが「1」の時、スイッチャーは「B1」を指定、ノブB1で設定したレベルを提供します。
- 2つの入力がどちらも「1」の時、これら2つのレベルの和によりスイッチャーはノブ値がゼロのB2を指定、出力Bも「0」となります。
なお、この例では2つの入力信号が同じ振幅であることを前提としています。2つの振幅が異なる場合は、ノブA1、A2を適宜調整する必要があります。
17. Saw to PWM with Manual or CV control – Audio/LFO
オシレーターのノコギリ波をA1に、PWM CVとして機能するモジュレーションをA2に入力します。CVを接続しない場合、ノブA2を使ってパルス幅をマニュアルで設定できます。出力AをCV B-onlyに設定されたスイッチャーに送ります。セクションBの2つのノブは、出力PW信号の振幅に応じて同等に設定します。PWM CVが最小値の時、出力Aは1ボルトよりも僅かに高くなるため、ミキサーAの信号の調整が必要になる場合があります。 CV値が高くなると、ノコギリ波の長い部分が1ボルト以上になり、結果としてパルスの持続時間が長くなります。
18. Hard clipping
クリッピングは、信号の振幅をハードリミットに制限する効果です。例えば、特定のレベルを超える三角波のピークをカットし、 代わりに平坦域を作成します。このレベルは、着信信号の振幅に関わらず、平坦域を超えることはありません。通常、クリッピングは対照的であり、波形は正負の両極性において均等に制限されます。なお、制限の範囲内であれば、信号が影響を受けることはありません。下のパッチ例は、これらの要件をすべて満たすものです。Mixwitchで高精度なハード・クリッピングを実行するには繊細な調整が必要であり、マルチメーター等の使用が理想的です。
- Mixwitchを完全にミキサーモードに設定し、パッチを始めます。
- ノブA1, A2, B1を閉じ、出力Bが5.0VになるようにノブB2を調整します。
- ノブA1を閉じ、出力Aが1.5VになるようにノブA2を調整します。
- 出力Aを入力B1とスイッチャーCV入力にパッチします。
- スイッチャーをCV B-onlyモードに設定します。B1が自動的に選択されます。
- 出力Bが2.5VになるようにノブB1を調整します。
- オーディオ波形のようなバイポーラー信号をA1に入力します。
- 必要に応じてA1を調整します。
- ノブA1以外の設定は変更しないようにします。
- 信号は0Vから5Vの間でクリップされ、そのDCオフセットは2.5Vになります。