MUSICAL FEATURES
Rainmakerは、16タップのリズミカルなステレオディレイとステレオコムレゾネーターの2つのセクションを搭載した高音質なエフェクトモジュールです。どちらのセクションも入力音を遅らせて出力する、”タップ”を重ねて作るエフェクトとなっていますが、コムレゾネーターの方は主にオーディオレートやそれに準じた非常に短い時間のディレイを重ねることによって得られる効果を狙ったセクションになります。96kHz、24ビットのデジタルシグナルに変換され、内部では32ビットで処理されます。128のプリセットストレージを持ち、全てのパラメータまたは一部をランダムに設定可能です。
※ステレオコムレゾネイターとは?
遅延タップを通したシグナルを入力シグナルと合算すると、入力シグナルの周波数に応じて増強したり打ち消しあったりするため、くし形のフィルター周波数特性を得ることができます。ステレオコムレゾネイターは、このような遅延タップを最大64個重ねることで、非常に深い、レゾナンスの効いたコムフィルタリング効果を生み出します。コムレゾネイターも遅延時間を長くしていけばそのままエコー効果になります。遅延時間が短くフィードバックが強い時にはKarplus-Strong型シンセシスと呼ばれる音源となります。
インターフェース
Rainmakerは、ボタン、OLEDディスプレイ、LED、通常のノブ、ロータリーエンコーダー、ジャックといった要素で構成されます。多くのボタンがディスプレイに表示、エディットされるパラメータの選択に用いられます。またFX ON、MUTE、EDIT/TAP#といったボタンはRainmakerのモードや状態を変えるためのボタンになります。更にタップテンポ、CLEAR、TRIGGERといった特別な機能を持ったボタンもあります。大きなノブは全部で8つあり、重要なパラメータをダイレクトにコントロールできます。小さい黒いノブは対応するジャックへのCV入力に対するアッテネータです。
パラメータの設定は、設定したいパラメータをボタンで選択し、ロータリーエンコーダーの回転とプッシュで変更や決定を行います。
マウスオーバーで各部の説明が表示されます
電圧コントロール
Rainmakerでは上の2つのセクションのパラメータを電圧コントロール可能にしました。ディレイセクションではフィードバック量、全タップのピッチシフト、フィードバック経路のフィルタリング(Tone)が電圧コントロール可能です。 コムレゾネーターセクションではくしのサイズ(遅延時間)、フィードバック量が電圧コントロール可能です。更にMOD A/Bの2つのアサイン可能なモジュレーション入力もあり、プリセットごとに異なるモジュレーション先をアサイン可能です。トリガー入力は様々な用途に設定可能で、レゾネーターのシグナル入力として使える内蔵ノイズバーストのトリガーやディレイ入力のフリーズ、ディレイのリバース、パラメータのランダマイズ、タップのミュートetcなどから選択できます。
DEMO
Rainmakerの開発者でもあるCylonixのデモです。
当店のディレイセクションパラメータの設定を紹介したデモです。
HOW TO USE
ステレオリズミックディレイセクションのパラメータとエディット方法
リズミックディレイのパラメータ設定
リズミックディレイのパラメータは、モジュール左上の青いボタンや白いボタン、およびロータリーエンコーダーで設定できます。 青ボタンや白ボタンの働きは、エディットモードかタップナンバーモードかで変わります。この2つのモードは、左上のEDIT/TAP#ボタンを押すことで切り替え可能です。たくさんのパラメータがありますが、タップ毎に設定できるものと全タップで共通の設定があります。
- タップナンバーモードでは、 白いTAP EDITボタン群からエディットしたいタップパラメータを選択し、青いボタンでエディットするタップを選択し、ロータリーエンコーダーを回すことで個々にタップごとのパラメータを設定します。
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エディットモードでは、全タップ共通のパラメータをエディットできます。”CLOCK”や”FEEDBACK”など、セクションごとに分けられた青いボタンでエディットしたいパラメータを選択し、ロータリーエンコーダーを回して設定します。
またこのモードでは、タップごとのパラメータを一斉にエディットすることも可能です:- – 設定したいタップ別パラメータを白いTAP EDITボタン群から選択し、ロータリーエンコーダーを1回押してから回すと、タップ毎パラメータを全タップで同じ値に設定することができます。
- – 設定したいタップ別パラメータを白いTAP EDITボタン群から選択し、ロータリーエンコーダーを2回押してから回すと、タップ毎パラメータをタップ間で傾斜をつけて一気に設定できます。傾斜のつけ方はロータリーエンコーダーを回して選択してください。
ステレオリズミックディレイのパラメータと設定方法は次の通りです。
タップごとに設定可能なパラメータ
- 16タップのリズミックディレイはそれぞれのタップが2Poleのフィルターとグラニュラーピッチシフターを持ちます。それ以外にも、パンニングやレベル、ミュートも個々のタップごとに設定可能です。
- タップのフィルターは互いに異なるレゾナンスやカットオフ周波数を持ち、ローパス、ハイパス、バンドパスを選択可能で、バイパス(フィルターを通さない)することも可能です。
- グラニュラーピッチシフトは15半音上から16半音下まで設定可能。
全タップで共通のパラメータ:ディレイ時間&グルーヴ
- タップはそれぞれ異なるディレイ時間を持ち、タップ1が一番短いディレイ時間、タップ16が一番長いディレイ時間になります。
- 個々のタップのディレイ時間は個別に設定するのではなく、16のプリセットパターン(Grooveと呼ばれます)から選択可能です。たとえばGrooveが”Straight”なら、タップ2のディレイ時間はタップ1の2倍、タップ3は3倍・・・となります。Grooveが”Swing”になると偶数番目のタップのディレイ時間がStraightの場合より遅れることで、スィングしたディレイのグルーヴを得られます。グルーヴのリストはマニュアルを参照してください
- 全体のディレイ時間ベースは、
- CLOCKセクションの青いボタン+エンコーダー
- タップテンポ
- 外部クロック
のどれかで設定可能です。またGRIDパラメータも全体のディレイ時間を変更します
- 全体のディレイ時間は8つの波形を選択できるLFOでモジュレーション可能です。TIMEMODセクションのボタンとエンコーダーでモジュレーションの設定をします。
- ディレイ時間のレンジは0.1ミリ秒から20秒です。
全タップで共通のパラメータ:フィードバック
- ディレイのフィードバックは16タップのうちのどれか1つ(フィルタリング前)を戻すか、16タップを合わせたフィルタリング後のシグナルを戻すことができます。FEEDBACKセクションの青い”TAP#”ボタンで設定します。またどうセクションの”SLIP”ボタンで、フィードバックの時間をずらすことができます。
- ディレイのフィードバック経路には独立したグラニュラーピッチシフターと1Poleのフィルター(ローパスまたはハイパス)を搭載。ピッチシフトはFEEDBACKセクションの青いPITCHボタンで設定します。フィードバックのフィルターは”FEEDBACK TONE”の青い大きなノブで設定します。
- フィードバック量は専用の”DELAY FEEDBACK”ノブでコントロール可能。電圧コントロールも可能です。
全タップで共通のその他のパラメータや設定
- タップごとのピッチシフトに使われるグラニュラーピッチシフトの設定はGRAINセクションで可能です。1、2、4個のグレインから選択できグレインサイズも調整可能。
- ディレイに入力されたオーディオはフリーズして更新されないようにしたり、リバースすることが可能です。フリーズは、右上のROUTING+CONFIGボタンを3回押し、Triggerボタン・シグナルのコントロール対象をフリーズにすることで可能です。
- “RAND”の青いボタンで、各種パラメータのランダマイズが可能です。RANDを押してからエンコーダーでランダマイズ先パラメータを選択、プッシュすることでランダマイズできます
- 同じディレイ時間で複数タップを重ねることができます(PILE)。ひとつのパイルのディレイ時間は、パイルに含まれるタップ中一番大きい番号のタップのディレイ時間(一番長いディレイ時間)となります。パイル内のタップに異なるピッチを設定すれば、一つのディレイタイムで動いていくようなコードも作れます。複雑なフィルタリングディレイも可能です。
- 青いPITCH SHIFTノブにより、タップ全てを同時にピッチシフトすることも可能です(+/-1オクターブ)。
ステレオレゾナントコムフィルターセクションの特徴
- 複雑なレゾナンスを生み出すことのできるよう、タップは最大64個使用可能です
- 3種類の異なるフィードバック構造により様々な周波数シェーピングが可能です
- 遅延時間が短くフィードバックが強い時にはKarplus-Strong型シンセシスと呼ばれる音源となり、内蔵のノイズバーストなどをトリガーして弾いた弦のような音を出すことができます。物理モデリングされたギターやシタール、クラリネット的なサウンドを生み出せます
- 64個のタップのお互いの遅延時間の関係は16個のプリセットパターンで指定可能で、レゾネーターの音色、またエコーとして使用している時はエコーのリズムを決定します。
- 一番長い時間のタップが入力にフィードバックされます。
- 全体の遅延時間(くしの大きさに対応します)はロータリーエンコーダーや外部クロック、また1V/Octの電圧コントロールで設定します(ディレイセクションと違い短い遅延時間での使用が中心となるのでタップテンポはありません)。
- 全体のディレイ時間は8つの波形を選択できるLFOでモジュレーション可能
- 時間は0.1ミリ秒から20秒まで設定可能
コムレゾネーターのパラメータ設定
コムレゾネーターのパラメータは、黒いボタンで選択し、ロータリーエンコーダーを回すことで設定できます。
ユーティリティ設定
右上の赤い4つのボタンでは各種設定、メーター表示の設定、設定のプリセットへのセーブやロードができます。”ROUTING CONFIG”ボタンは押す回数により設定項目が異なり、ディレイとコムレゾネーターのルーティング設定に加えてトリガーイベントの設定やステレオ設定などもできます。